オンキヨー破産の反響に“大きな誤解” オーディオは「ノスタルジックなビジネスではない」と言えるワケ:本田雅一の時事想々(1/4 ページ)
オンキヨーが、5月13日に自己破産を発表した。この件に関連して、オンキヨーをかつてのオーディオブームに乗じ、今は勢いを失った日本ブランドの代表として“ノスタルジックな論調”で語る言論が多かった。しかし、筆者はオンキヨーは「伝統的なハイエンドブランド」という立ち位置ではなく、またオーディオビジネスの本質をつかんだブランドは今も求められていると指摘する。オーディオ業界で、何が起きているのか。
オンキヨーホームエンターテイメント(以下、オンキヨー)が、5月13日に自己破産を発表した。これにより、かつてのオーディオブームと、ブームに乗って業績を伸ばした日本発のブランドに“ノスタルジックな論調”が見られた。
しかし、多くの読者が承知の通り、破産したオンキヨーは“かつてのオンキヨー”とは名前こそ同じだが、すでにオーディオ&ビジュアル事業は売却済みだった。
この辺りは以前の記事を参照いただけると幸いだが、簡単にいえばオンキヨーというメーカーは、伝統的な高級オーディオのビジネスモデルをかたくなに守り続けてきた企業ではなく、また“ハイエンドオーディオ”メーカーでもない。
オンキヨーの真の姿は
オンキヨーは、「趣味としてのオーディオ」という視点を守りつつも、時代に合わせてどのように生き残るかを模索してきたブランドだった。ハイレゾ楽曲のダウンロード販売にいち早く取り組んだり、結果的には成功しなかったもののギターメーカーのギブソンと資本関係を結び、音楽アーティストとの関係性を生かしたグローバルでのビジネス展開を図ろうとしたり、“伝統的なハイエンドオーディオ”という保守的なイメージからは遠い存在だ。
時代に適合するため、さまざまな手を尽くし、事業の刷新を試みた中で手詰まりになっていったのがオンキヨーだった。
ただし、そんな話題もシャープ+VOXXへのオーディオ&ビジュアル事業売却が完了した2021年9月に終わっていることだ。
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