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京急と阪急阪神、人気私鉄の意外な「ビジネスモデル」の違い支持は共通だが(4/4 ページ)

関東の京急電鉄と関西の阪急電鉄は、ともに人気の私鉄だ。熱心なファンも多いが、それぞれ異なるビジネスモデルを確立している。それは……。

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交通事業会社としての阪急電鉄

 現在、阪急電鉄は鉄道事業をメインとするグループである。都市交通事業は阪急電鉄の中で収益の57%を占め、従業員の89%がこの事業に従事している。


阪急電鉄のセグメント分析(同社の有価証券報告書を基に筆者が作成)

阪急電鉄のセグメント分析グラフ(同社の有価証券報告書を基に筆者が作成)※内側は営業収益、外側は連結従業員数

 小林一三氏が確立した沿線ビジネスモデルは複数のグループに拡散していく中で、阪急電鉄は従来の事業に特化して経済活動を行う企業となっていった。あとは宝塚歌劇団である。

 現在の阪急電鉄は鉄道事業を中心とした都市交通事業を行い、沿線ビジネスは阪急阪神東宝グループ全体で行うことにしたといえるだろう。そのぶん、鉄道会社としての純粋性は高くなっている。

 企業が多角化する一方で鉄道そのものに注目が集まる京急電鉄に対し、多角化はグループ全体に任せ、都市交通事業に専心している阪急電鉄。有価証券報告書は一般に見られる企業イメージとは、逆の状況を示している。

 鉄道沿線住民には「愛線心」がある。京急が鉄道そのものの魅力を高める一方で「愛線心」を涵養(かんよう:少しずつ養い育てること)させているものの、実態は多角化経営である。一方、阪急電鉄は沿線文化の祖と言われ、それが「愛線心」と深くかかわりがある状況でありながらも、再編を経て鉄道そのものをメインとする企業になった。もちろん、阪急電鉄も魅力ある鉄道だ。

 阪急阪神東宝グループが巨大すぎるため、その中で阪急阪神HD、さらには阪急電鉄の位置付けがある。だが企業としての京急電鉄と阪急電鉄を見てみると、意外な印象を受けるのではないだろうか。

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