アウディが仕掛けるEVとSDGs戦略 次世代パワートレインはEVで確定:BEVで勝負(4/6 ページ)
アウディは2026年以降に全世界で発表するモデルは全て電気自動車で、33年を最終期限として内燃エンジンの生産は段階的に廃止する。岡山県真庭市で実施したツアーの様子と共にEVとSDGs戦略をひもとく。
地方でも充電施設を普及させられるのか
都市計画を研究する今村陽子さんは「将来は地元の田舎に住みたいと考えているが、都会とは違い、地方でも同じように充電施設を普及させられるのか?」と疑問をぶつけた。
シェーパース氏は、「少し余裕のある1軒家に自宅用の充電器を付ければ、iPhoneと同じ感覚で充電できるようになる。その一方で、アウディのディーラーが充電拠点になる」と話した。
ただ、岡山県内にアウディの店舗は1店舗しかない。「数が足りないのではないか」との同大学学術研究院で自然科学を教える河原伸幸教授の指摘には、以下のように将来の充電設備は十分あるはずとした。
「急速充電器の全国的なネットワークであるe-Mobility Powerは、150kWほどではないが、誰でも使える必要最低限のレベルの急速充電拠点を全国約7800カ所に持っている。また、BEVの普及率が上がってきた段階で、『BEV版のガソリンスタンド』の運営をビジネスとする会社が立ち上がってくる。加えて欧州では、シェルやBPのガソリンスタンド内に急速充電器を設置していて、彼らのビジネスモデルもスイッチしてきている。さまざまな方向から充電のネットワークが確立していく」
バイオマス発電を研究する大学院生の有森匠さんからは厳しい質問も出た
「例えば、『今後、真庭市の車が全てEVに置き換わればよいわけではない』というのが自分の考えで、シェアリングは必要になってくる。一方で、アウディは自動車会社として販売台数を増やすのが利益につながって、株主に利益を還元するのがミッションだと思う。ただ、街に車があふれている社会は、豊かな社会といえないと思っているので、そこ矛盾がでる。つまり、アウディが一種の街づくりをするのは少し違う気がする」
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