三菱地所が目指す「有楽町改造計画」の全貌 解体予定のビルに生まれた“謎空間”とは:一等地にアーティストの工房?(3/5 ページ)
20年前の東京・大手町、丸の内、有楽町を覚えているだろうか。午後3時にはシャッターが閉まり、週末はほぼ無人になる寂しいオフィス街だった。だが、この20年で街の風景は大きく変わり、道行く人の顔ぶれも多様に。社会の変化を追い風にして次の10年へ。これまでにない街を目指す大丸有の今を聞いた。
一見カフェ、実は……という謎空間
もうひとつは、有楽町ビル1階に作られた「micro FOOD&IDERA MARKET」(以下、micro)。SAAIが「アイデアが形になる場所」だとすると、こちらは「アイデアが試され、磨かれる場」だという。見た目は物販、イベント開催も可能なカフェという体裁だ。
玉石混交という言葉があるが、ここはまだ玉とも、石とも評価が定まっていないものをお披露目する場とされており、門戸は広く開かれている。これまでの大丸有が成功したビジネスしか仲間入りできないサークルだったとしたら、ここは、とりあえず誰でも入れるサークルだろう。その後の評価は市場がすれば良いのだ。
元は紳士服店だった空間で、窓が閉ざされ、外からは中が見えにくく入りにくい場所だった。microを立ち上げるにあたり、壁をぶち抜いて縁側的な空間を作った。
中と外がはっきり分かれていない、緩やかにつながるようになっており、大丸有のカチッと区画が分割されたオフィスビルを見慣れた人からは異色の空間でもある。これは、あえてそうしたという。
「ウチとソトが曖昧なだけでなく、街と建物も曖昧な空間を意識しました。大丸有には東京国際フォーラムという世界有数のコンベンションセンターがありますが、今後はそれに加え、街全体がMICEの場となることを想定しています。その時、サテライト会場となるのはmicroのような飲食店。ホールとして、舞台としてなど、その時々に合わせた可変性のある空間が成り立ちうるか、今は実験をしているところです」(山元氏)
実際の運用では、イベントに参加している人の隣に飲食している人がいるなどで互いに居心地悪い思いをすることもあり、まだまだ実験は必要だという。
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