コラム
「人事評価の結果に納得できない」という声続出 評価基準を見直すべき?:Q&A 総務・人事の相談所(2/2 ページ)
人事評価制度を導入して2年、社員から「評価の結果に納得できない」という声が上がり始めました。明確な評価基準を整備できたと思っているのですが、見直すべきでしょうか?
評価者のフィードバック力を高めるには?
評価面談の目的に沿ったフィードバックを促す施策としては下記などが考えられます。
- 人事制度における「評価者が果たすべき役割」について、評価者に再度説明して理解を促す
- 研修やレクチャーなどを通じて、評価面談の「目的」「進め方」を評価者に正しく認識してもらう機会を設ける
- フィードバック面談用のシート(フィードバックシート)を作成し、部下と話す内容の準備や面談結果を記録するツールとして活用してもらう
評価者自身の評価力、面談力を高めるためには?
- 評価者間で、評価項目の読み合わせを行う機会を定期的に設け、「評価項目の意図の確認」「役割や等級ごとに求めるレベルの具体例を共有」するなどして理解を深めていく
- 評価面談のロールプレイングの中で相互に面談の仕方を観察し、改善点を出し合って面談力の向上を目指す
- 部下とのコミュニケーション方法を学ぶ研修を用意する
上記は一例ですが、これらを継続的に実施していくことが、評価者のフィードバックに対する理解とスキル向上、被評価者の評価結果への納得度向上につながります。また、上記施策は一度実施したからといって効果を発揮するものではありません。継続することで、少しずつ評価者のレベルアップが期待できます。
さらに、フィードバック面談終了後に社員アンケートを実施するのも有効です。面談状況や社員の意見を把握することは、問題の早期発見・解決につながります。
人事制度で不具合が生じている場合、「制度上(ハード面)の課題」と「運用上(ソフト面)の課題」があります。特に運用上の課題については、“評価者の育成”がカギとなりますが、その改善には多くの手間と時間を要します。人事担当者としては、社員の不満を早く解消したいがゆえに、ハード面を改修する方向に舵を切りたくなることでしょう。
ここで一度立ち止まり、「本質的な課題は何か」「ソフト面で手を打つべきことはないか」などを今一度見直していただければと思います。
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