「家庭用ゲーム機は必要か」問題 スマホ普及で問われる存在意義:ゲームライターが解説(1/2 ページ)
スマートフォンの普及でゲームのプレー環境に変化が生じ、家庭用ゲーム機の存在意義が問われている。家庭用ゲーム機の将来をゲームライターが一問一答形式で解説する。
各社がゲーム開発でしのぎを削っており、コンテンツ数が日々増加しています。中でもゲームの代名詞といえば、任天堂の「ニンテンドースイッチ」やソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の「PS5」などの家庭用ゲーム機などが挙げられ、それぞれ人気を博しています。
しかし、スマートフォン(スマホ)が普及し、ゲーム機がなくてもゲーム自体は気軽に楽しめる環境が整いつつあります。「パズル&ドラゴンズ」、最近では「ウマ娘 プリティーダービー」のようにスマホゲーム発のヒット作品も登場したことで「家庭用ゲーム機はいずれ不要になるのでは」という声も聞かれます。
私の連載を担当している編集担当者の方もゲームとの接点が少ない人生を歩んできたため、そうした考えを持っているようです。そんな素朴な疑問について、ゲーム業界を20年以上取材するライターがお答えします。
──ゲームは、もはやスマホで無料で遊ぶのが当たり前。そうなると将来、家庭用ゲーム機は不要になるのでは?
世の中は進歩しますから、遠い未来はそうかもしれません。しかし近い未来でいえば、家庭用ゲーム機の市場がすぐ消えるとは考えづらいですね。
──どうして?
家庭用ゲーム機の利点は、ゲーム機とソフトを買えば、リッチなゲームがプレーできる「分かりやすさ」があるからです。スマホゲームやPCとは違い、家庭用ゲーム機の仕様は同じなので、「ソフトが動かない」というトラブルも減らせますし、トラブル事態に対応しやすいのです。
──でもスマホゲームは無料で気軽に遊べる。
「気軽に遊べる」という意味では、その通りです。オランダの調査会社Newzooの試算によると、21年のゲームの世界市場規模は約1758億ドル(約22兆8000億円)。23年には2000億ドル(26兆円)を突破する見通しとのことです。
内訳を見ると、全体の約半数に当たる52%をスマートフォン向けアプリのゲームなど「モバイル」が占め、残りをニンテンドースイッチやPS5などの「家庭用ゲーム機用ソフト」(28%)と、PC(20%)が分け合っています。
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データを見ればスマホゲームは、世界のゲーム市場の半分を占めていますが、逆に言えば、半分は別の市場となるわけです。
スマホゲームは、無料で遊べる代わり「アイテム課金」という仕組みにしています。そのためゲームの設計も制約されます。リッチなゲームを作ろうとすれば、PCや家庭用ゲーム機の方が向いています。
──でもゲーム機は数万円もする。高い。
「金を払っても、違うタイプのゲームが遊びたい」という人もいるのです。またアイテム課金だと、支払額が大きくなる傾向にあるし、金をかけてゲームで強者になる仕組みを嫌がる人もいるのです。
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