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銀行は斜陽産業? 千葉銀行の業績を左右するポイント:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(7/9 ページ)
決算書といえば投資やビジネス視点で見るイメージがあると思いますが、より一次情報に近い経済ニュースでもあります。「決算書で分かる日本経済」ということで、地方銀行の決算を取り上げていきます。今回取り上げるのは千葉銀行です。
金利上昇で債券は含み損に
続いて有価証券の含み損益を表す有価証券評価損益を見てみると、前期比で341億円のマイナスで1481億円と減少してしまっています。
国内では金融緩和が続くものの、欧米中心に海外では利上げが進み金利は上昇傾向にあるわけですから債券の評価額が減少していたということでしょう。ちなみに債券は利上げが進むと、既存の利回りの低い債券の価格は下落します。
語弊を恐れずめちゃくちゃざっくり説明すると、同じ米国債で元本1億円で年利1%のモノと年利5%のモノがあれば当然5%の方が欲しいですよね。なので、金利が上がると金利が低かったころの債券を買う人がいなくなるので、元本の1億円部分の債券価格を下げて9500万円などにして実質利回りを合わせないと売れなくなってしまうという話です。
長期の債券を多く保有しているということは、債券の組み換えが行われるモノも多いでしょうから、そういった面から運用損失が出る可能性がありそうです。
金利上昇は長期的にはもちろん債券の利回りを増加させるものの、短期で見ると評価損、売却損という形での悪影響は考えられるということですね。
ちなみに、外貨金利の上昇の悪影響としては概算ですが、10bp(ベーシスポイント、0.1%)の上昇でドル建て債券が9.2億円、株式が5.4億円、ユーロ建てで債券が3.7億円、株式が1.7億円ほどの悪影響が出るとしています。
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