銀行は斜陽産業? 千葉銀行の業績を左右するポイント:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(8/9 ページ)
決算書といえば投資やビジネス視点で見るイメージがあると思いますが、より一次情報に近い経済ニュースでもあります。「決算書で分かる日本経済」ということで、地方銀行の決算を取り上げていきます。今回取り上げるのは千葉銀行です。
相続、キャッシュレス、シンジケートローンが成長
続いて役務取引利益(手数料収入)についても見ていくと、こちらは過去最高を更新していて好調です。
投資信託や保険などの金融商品の販売などの手数料は減少しています。金融リテラシーも上がっていますから、手数料が高いだけの銀行で金融商品を買おうという人は減っているのかもしれません。
一方で伸びているのは法人関連に加えて、相続やキャッシュレス関連です。相続やキャッシュレスに関しては市場が成長していきますから、今後も成長が見込めそうです。
また、伸びている法人関連で特に大きく伸びていて、最も大きな規模を占めるのがシンジゲートローンからの収益です。
詳しくは説明しませんが、シンジゲートローンとは一人の顧客に対して、複数の金融機関が融資を行うというモノで、その取りまとめを行う手数料をもらっているということです。
シンジゲートローンは、大型の借り入れであることが多いですから、これまで以上に大手企業とのつながりを強めていっていると考えられます。これは地方銀行でも大手の千葉銀行だからこそ伸ばしていける分野でしょうから、他の多くの地方銀行に比べて有利な部分ですね。
またM&A仲介やビジネスマッチングに関しても伸びています。
メガバンクのような大手企業との取引が中心の所では、地方の中小企業の情報が十分ではないケースが多く、そういった中で地方銀行でしかできない領域でもあり、多くの地方銀行が力を入れている分野です。
大手銀行のようにシンジゲートローンを行いつつ、地方銀行としての強みも生かせるのは千葉銀行のような大手の地方銀行の優位性でしょう。
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