カメラ市場は縮小しているのに、なぜソニーの「VLOGCAM」は人気なのか:過去最高の予約(5/5 ページ)
カメラ市場が縮小している中で、ソニーの「レンズ交換式VLOGCAM ZV-E10」が注目を集めている。同社のミラーレス一眼カメラ史上、過去最高の予約数(発売当時)をたたき出しているが、なぜ人気を集めているのか。同社のマーケティング担当者に話を聞いた。
スマホにはない価値が伝われば売れる
冒頭で紹介したとおり、カメラ市場は縮小し続けている。直近のグローバルでのデジタルカメラの出荷台数はピーク時の約7%、出荷金額は約22.5%と急激な落ち込みようだ。そんななかで、VLOGCAMシリーズが過去最高予約数を達成した要因として、丸山氏は2点を挙げた。
「カメラ市場は縮小していても、スマホも含めカメラで撮影する人は増えています。近年はあまり意識せず、写真と動画のどちらも撮影することが多いですよね。そういったなかで、スマホではできない、あるいは不十分だったことができるという価値をシンプルに伝えられたのがヒットにつながったのではと思います」(丸山氏)
VLOGCAMシリーズのPRにおいては、若手層に支持が高い乃木坂46の齋藤飛鳥さんをWebCMに起用。旅の映像や日常などの動画ブログをYouTubeで発信している人気ビデオグラファーのAUXOUT(オックスアウト)氏とコラボレーションしてWebCMを作成し、それを店頭でも流した。SNSでのコミュニケーションを中心に、オンラインとオフラインがつながるようなコミュニケーションを心がけたそうだ。
丸山氏は、「スマホの機能が上がり続けるなかで、今後カメラ市場が劇的に好転することはないだろう」と市場への見解を示す一方で、VLOGCAMシリーズのようにカメラがヒットする可能性は十分にあるという。
「スマホとの差別化を打ち出しながら、スマホの競合になるのではなく、共存することが大事ではないかと考えています。企画の軸になるのは、現在のカメラ市場で主流になっている小型軽量に優位なミラーレス一眼です。
弊社は、フルサイズセンサーを搭載したミラーレス一眼を他社に先駆けて発売し、着実に支持を得ています。こういった強みを生かしながら、スマホでは表現できないようなぼけ感や高解像など、一眼カメラならではの価値を提案していきます」(丸山氏)
まだ詳細は未定だが、VLOGCAMシリーズはさらなる展開が見込まれるようだ。「ソニーの定番である『デジタル一眼カメラ α(アルファ)』や『デジタルスチルカメラ Cyber-shot(サイバーショット)』と並ぶようなシリーズとして訴求していきたい」と丸山氏は締めくくった。
写真提供:ソニー
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