カメラ市場は縮小しているのに、なぜソニーの「VLOGCAM」は人気なのか:過去最高の予約(4/5 ページ)
カメラ市場が縮小している中で、ソニーの「レンズ交換式VLOGCAM ZV-E10」が注目を集めている。同社のミラーレス一眼カメラ史上、過去最高の予約数(発売当時)をたたき出しているが、なぜ人気を集めているのか。同社のマーケティング担当者に話を聞いた。
初めてカメラを買う若年・ファミリー層にヒット
VLOGCAMシリーズは、発売前からソニーにとって期待値の高い製品だった。「ZV-1が発売された20年当時は、まだ国内でVlogはそれほど盛り上がっていなかった。そこで、新たにVlog市場をつくるという気概で、高い目標を掲げた」と丸山氏はいう。結果的に、反響は予想以上だった。
最もヒットしたのは後発として発売されたZV-E10で、発売直後はこれまでソニーが発売したミラーレス一眼カメラのなかで、過去最大の予約数となったほどだ。
「最初に発売したZV-1の反響のよさから、VLOGCAMシリーズの手応えはつかんでいました。消費者から『レンズ交換式がほしい』という声が多く寄せられたことから需要はあると考えていましたが、予想を越えた反響でした」(丸山氏)
ZV-E10が発売されると、BCNランキング(※)でしばらく1位をキープ。その後、世界的な半導体不足などの影響による部品調達の遅れが原因で、21年11月末にVLOGCAMシリーズの受注を一時的に停止したが、22年6月24日に再開されると、再びZV-E10がランキング1位に返り咲いた。
「VLOGCAMシリーズは、狙っていたターゲット層に売れている印象です。ZV-1は20〜30代の若年層、ZV-E10はこの層に加えてファミリー層にも人気があります。いずれも、弊社のほかのカメラと比較して、初めてカメラを購入する人の割合が非常に高いです」(丸山氏)
縮小するカメラ市場を盛り上げるため、若年層、かつカメラ初心者を狙ったところ、まさにそれが的中したようだ。
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