1日600箱以上売れる「ウイロバー」 ヒットを生んだ老舗・大須ういろの危機感:地域経済の底力(4/4 ページ)
ういろの老舗、大須ういろが2015年に発売したウイロバー。販売初日にいきなり150箱売れて、コロナ直前は年間24万箱まで売れた。今や集客装置となった、この新商品開発の裏側には、「このままでは先がない」という同社の強い危機感があった。
年間24万個を作るのが限度
こうした一連の取り組みについて、村山社長は次のように意気込む。
「ウイロバーは大量生産ができないため、年間24万個を作るのが限度です。キャッチーな見た目やユニークなネーミングなど、起爆剤となる商品はまだ必要。第2、第3の矢をどんどん打っていかないと」
ただし、飛び道具的な商品だけに注力するつもりはない。古くからの商品を好んでいる既存顧客も大切にすべきだからだ。村山社長は樹木に例えて説明する。
「当社の本流といえる商品はやはり『ひとくちういろ』や、棹タイプのういろです。これらが幹とすれば、ウイロバーやういろモナカは枝葉。枝葉だけを育てていると幹が弱ってしまいますが、一方で幹を太くするには、枝葉で新しいお客さんを取り込み、循環させていくことが必要です。会社が成長するためにはどちらが欠けても駄目」
コロナ禍で売り上げは半減したものの、苦しむ中でも会社の財務体質を改善してきた。名古屋に来られない客にも商品を届けたいと、インターネットによる販売も始めた。今年は全社売上高6億円を目指す。
コロナ禍が沈静化した瞬間に、猛然とスタートダッシュを切れるよう、大須ういろは今できることを着実に遂行していく。
著者プロフィール
伏見学(ふしみ まなぶ)
フリーランス記者。1979年生まれ。神奈川県出身。専門テーマは「地方創生」「働き方/生き方」。慶應義塾大学環境情報学部卒業、同大学院政策・メディア研究科修了。ニュースサイト「ITmedia」を経て、社会課題解決メディア「Renews」の立ち上げに参画。
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