苦しいといわれる第二地銀の実態は? 福島銀行の業績ポイント:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(7/9 ページ)
決算書といえば投資やビジネス視点で見るイメージがあると思いますが、より一次情報に近い経済ニュースでもあります。「決算書で分かる日本経済」ということで、4回連続で地方銀行の決算を取り上げていきます。
預金も貸し出しも増加
続いて預金や預かり資産の残高を見ると、預金は127億円の増加、預かり資産は68億円の増加となっています。
預金に関しては、個人は6億円の減少となる一方で、法人に関しては89億円の増加となっていて法人が伸びています。
21年3月期では個人預金は4902億円→5032億円、と大きく伸びていますから、給付金やコロナによる消費の停滞などがあり大きく預金が増加したところから、経済活動の正常化に伴って減少したということが考えられます。
基本的にコロナに関しては預金面ではポジティブな影響があったと考えていいのではないでしょうか。
続いて貸し出しの面を見ていくと増加傾向が続いていて、6136億円で過去最高を更新したとしています。
コロナ禍で特に伸びているのが事業性の貸し出しですから、前回取り上げた千葉銀行と同様にコロナ対策として無担保で保証協会付き、利子補給型(借入の利息が後ほど県から補填される融資)のいわゆるゼロゼロ融資(担保ゼロ・利息ゼロ)が行われていたことが影響しているでしょう。
無担保で保証協会が付いていた融資ということで、コロナで悪影響を受けた企業に銀行もノーリスクで貸し出せますし、これまでは資金的に余力があって借り入れをしてくれなかったような財務的に余力の大きい企業も、利子補給で実質無利息だからと借りてくれることが起きています。貸出面に関してもコロナはポジティブに働いていたと考えられますね。
今後に関してはやはりゼロゼロ融資に関しては利子補給の期間が終わり、返済が始まる時期になってきます。財務的に余力のある企業が一括返済を進めたり、財務的に余力のない企業で貸し倒れが起きたりして、残高減少につながることでしょう。
地域経済も拡大していくわけではありませんし競合環境も悪化している中で、再拡大は楽な状況ではありませんから、これからどうなっていくかには注目です。
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