社内で禁句にしておくべき、パワハラの相談者に「絶対に言ってはいけないこと」とは?:マニュアル化推奨(2/2 ページ)
企業がパワハラ対策に取り組む際、就業規則(パワハラ防止規定)に定め、周知させることが重要です。今回はパワハラ対策のため会社があらかじめ決めておくべきことや、特にポイントとなる以下の3点について解説します。
3.迅速、公平な対応
ハラスメントが起こったときに打つべき手は以下の通りです。
- 事実の確認
- 被害者に対する措置
- 加害者に対する措置
- 再発防止
- その他
事実の確認
ハラスメントへの対応で、まず重要なポイントは事実の確認です。被害者と目される人、加害者と目される人双方および周辺の人たちから事実関係を確認します。
就業規則(ハラスメント防止規定)には、ハラスメント行為の可能性があるときは事実関係を調査すること、従業員は調査に協力する義務があることを記載します。
被害者に対する措置
ハラスメントが事実であると認められた場合、被害者に対してメンタルケア、人事異動などの措置を講じます。就業規則(ハラスメント防止規定)にもその旨を記載します。
加害者に対する措置
また加害者については、事案の程度に応じて懲戒処分、人事異動その他の措置を講じるということを記載します。
再発防止
ハラスメント行為が繰り返されることのないよう、必要な措置を講じるようにします。就業規則(ハラスメント防止規定)には、社内通達、研修などの措置を必要に応じて実施するということを記載するのがいいでしょう。
その他1:プライバシー保護
ハラスメント対応では、プライバシー保護に十分気を付けなくてはなりません。ここが不十分で、二次被害や新たなトラブルを引き起こすこともあります。
その他2:相談者、協力者などへの不利益取扱の禁止
ハラスメントに関し、会社に対して相談をしたことや、事実関係の確認等の措置に協力したことを理由として、解雇その他の不利益な取扱いをされない旨を明記します。
著者:杉山秀文
社会保険労務士法人ヒューマンキャピタル代表。
早稲田大学商学部卒業後、大手電機メーカー人事部、大手ビジネス系出版社人事部で採用、研修、人事・賃金制度構築・運用、勤怠管理制度構築、労使関係、就業規則作成・改定、人事業務アウトソーシングなどの業務に従事。
就業規則、人事・賃金制度、会社のメンタルヘルス対応、労働時間管理、非正社員活用、労務トラブルなどでコンサルティング・アドバイザー業務を手掛けている。
Webサイトはこちら。
関連記事
- 優秀な人を欲しがる現場、見つけられずに悩む人事──「中途採用の壁」を壊すため、何をしたのか
DX人材の採用に注力し始めても、部門の要求が高く、マッチする人材がそもそも見つからなかった東洋エンジニアリング。開始から「半年間、成果なし」だった市場価値の高い人材の採用を、どのようにして軌道に乗せたのか。取り組みを聞いた。 - 幹部候補か、“万年ヒラ”か キャリアの分かれ目「30代以降の配置」を、人事はどう決めている?
「育成」の観点から異動配置させる20代が過ぎると、多くの企業は「幹部候補の優秀人材」と「それ以外」の社員を選別します。人事は、そうした異動配置をどのように決めているのでしょうか。年代層別の異動配置のロジックをみていきます。 - 「優秀でも残念でもない、普通社員」の異動に、人事が関心を持たない──何が起きるのか
社員の異動を考える際、人事部が真っ先に関心を持つのは「優秀社員」と「残念社員」。その間にいる大多数の「普通社員」は後回しにされがちという実態がある。しかし、この層への取り組みを疎かにすると、ある懸念が生まれる。 - 「部下を育てられない管理職」と「プロの管理職」 両者を分ける“4つのスキル”とは?
日本企業はなぜ、「部下を育てられない管理職」を生み出してしまうのか。「部下を育てられない管理職」と「プロの管理職」を分ける“4つのスキル”とは? 転職市場で求められる優秀な管理職の特徴について解説する。 - 「優秀だが、差別的な人」が面接に来たら? アマゾン・ジャパン人事が本人に伝える“一言”
多様性を重視するアマゾン・ジャパンの面接に「極めてだが優秀だが、差別的な人」が来た場合、どのような対応を取るのか。人事部の責任者である上田セシリアさんに聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.