新しい買い物体験ニーズ1位の日本 海外で広がるBOPISは国内の小売店に浸透するのか:コロナ禍が変える買い物体験(1/3 ページ)
コロナ禍をきっかけに、新しい買い物体験が世の中に浸透しつつあります。日本は特に新しい買い物体験ニーズが強いことが調査から分かりました。海外の小売店で広がる「BOPIS」という買い物体験は日本で定着するのでしょうか?
本記事は、東芝テックCVCのnote「アフターコロナも継続利用?小売店舗のサービスとは」をITmedia ビジネスオンライン編集部で一部加筆・編集の上、転載したものです。
コロナ禍をきっかけに、新しい買い物体験が世の中に浸透しつつあります。密回避や非接触ニーズの高まりからコンビニやスーパーでセルフチェックレジを提供する店舗が増え、無人店舗も見かけるようになりました。
海外ではECで購入した商品を店舗で受け取るBOPIS(Buy Online Pick-up In Store)や、店舗の駐車場で商品を受け取るカーブサイドピックアップが流行しているようです。国内でもアパレルを中心に一部大手企業で導入を始めているようですが、“浸透している”かというと、まだこれからなのではないかと思います。
今後、日本にBOPISが広がる可能性はあるのでしょうか? そのために解決すべき課題とは? 小売業のDXを支援する「店舗のICT活用研究所」代表の郡司昇氏に、現状と今後の動向をお聞きしました。
日本は新しいサービスの継続利用意向が最も高い国
――海外の小売業や飲食業ではBOPISをはじめとする新しいサービスが続々と提供されていますが、これはコロナ禍だけの一過性のものなのでしょうか?
郡司氏: McKinsey & Companyがアメリカで実施した調査(※) によると、コロナ禍で新しく体験したサービスの中で最も利用が増加したのはレストランのカーブサイドピックアップでした。この調査で一つ注目したいのは、継続利用意向の数値です。今後も使い続けたいサービスについて聞いたところ、1位がセルフチェックアウトの82%で、BOPISも64%と高い数値を示しています。
コロナ禍以降も継続的に利用したいサービス(出所:McKinsey & Company「How retail can adapt supply chains to win in the next normal」)
さらに、McKinsey & Company がピックアップした13カ国の中で、コロナ禍で体験した新しいサービスの継続利用意向が最も高いのは日本でした。 新しい買い物体験を続けたいと考えている人が最も多い国であるにもかかわらず、現状はその機会を十分に提供できていないとすれば、今後BOPISやセルフチェックアウトを提供することが、生活消費者ニーズに応えるチャンスになり得ると考えられるのではないでしょうか。
【注釈:(※)McKinsey & Company HP「How retail can adapt supply chains to win in the next normal」および、「Consumer sentiment and behavior continue to reflect the uncertainty of the COVID-19 crisis」を参照】
――近年、日本でBOPISを提供している店舗はあるのでしょうか?
郡司氏: しまむらやユニクロ、ワークマンなどはECで購入した商品を店舗で受け取るサービスを提供しています。しまむらグループの2022年2月期第3四半期決算説明会の資料を見ると、店舗の受け取り比率が92%とかなり高い数値を示しています。おそらく、しまむらは商品単価が高くないので、例えば送料に500円を支払うよりも店舗で受け取ったほうがお得だ、という顧客消費者心理が働いているのではないでしょうか。
さらに興味深いのは、店舗受け取りで来店した顧客の店頭での合わせ買い比率が46%(第3四半期累計)に到達している点です。いわゆる「ついで買い」は、BOPISを展開する店舗側にとって大きなメリットの一つだと考えられます。
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