利益倍増の琉球銀行、そのカラクリは?:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(6/8 ページ)
沖縄といえば合計特殊出生率は日本最高で、コロナ以前は人口も増加が続き、経済も盛り上がりを見せていた地域です。一方で主力産業は観光業であり、最もコロナの影響を受けた地域の1つでもあります。
預金は伸びたが貸し出しの伸びは限定的
続いて微増だった預貸金関連も見ていきましょう。
まず預金残高は大きく増加しています。その要因はやはりコロナによる一時金や補助金、消費の低迷でしょう。さらに事業性融資の歩留まりによっても増加しています。事業性融資の歩留まりとは、1億円貸したら5000万円しか使ってないから預金が5000万円増えたよ、みたいな話です。
コロナが預金に好影響を与えているのは、以前取り上げた千葉銀行や福島銀行と同様の状況ですね。
では続いて貸出金を見ていくと、こちらも増加が続いていて1.3%増となっています。観光産業が大きなダメージを受ける中で金融支援が必要な企業は増加しました。前回取り上げた千葉銀行や福島銀行と同様に、コロナ対策として無担保で保証協会付き、利子補給型(借入の利息が後ほど県から補填される融資)のいわゆるゼロゼロ融資(担保ゼロ・利息ゼロ)が行われていたことなども影響しているでしょう。
とはいえ増加してはいるものの、琉球銀行の伸びは大きくありません。22年3月期の貸し出しの前期比をこれまで取り上げた2行と比べてみると千葉銀行が4.3%増、福島銀行が2.5%増に対して、琉球銀行は1.3%増にとどまります。
住宅ローンや個人ローンは堅調に推移しているものの、事業性の貸出需要が低下している影響があり残高も減少したとしています。どうやら事業性の貸し出しが伸びていないことが、小幅な伸びにとどまった要因のようです。
コロナの金融支援に関しても、経済活動再開とともに減少傾向となっています。現状の空気感を考えても、今後また大きな活動の制限がされるような状況になるとは考えにくいですから、コロナ対策としての貸し出し増加という傾向にはならないでしょう。
当初見たように、不動産投資が縮小しているような状況が続いていましたから、観光再開によって沖縄への投資が増えることによって貸し出しなどが増えていくかが重要になりそうです。
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