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利益倍増の琉球銀行、そのカラクリは?:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(7/8 ページ)
沖縄といえば合計特殊出生率は日本最高で、コロナ以前は人口も増加が続き、経済も盛り上がりを見せていた地域です。一方で主力産業は観光業であり、最もコロナの影響を受けた地域の1つでもあります。
有価証券は売却損を出し、利回りの良い債券に乗り換え
また、有価証券の運用に関しては業績悪化となっていましたが、その要因は金利上昇の中で債券利回りの改善のために損失確定を進めたためとしています。
利上げが進むと既存の利回りの低い債券の価格は下落します。前回から何度も同じ説明になってしまいますが、今回もめちゃくちゃざっくり説明すると、同じ米国債で1億円で年利1%のモノと年利5%のモノがあれば当然みんな5%の方が欲しいわけです。
なので金利が上がると金利が低かったころの債券を買う人がいなくなるので、債券自体の価格を下げて9500万円などにして実質利回りを合わせないと売れなくなってしまうということです。
こうした背景の中、琉球銀行では、新しい利回りのいい債券を手に入れるために、価格の下落した債券を売却して損失を出しつつ、利回りのいい債券を買いなおしたということです。
前回取り上げた福島銀行では損失を確定させず、満期まで保有するようでしたから運用方針にも違いが表れますね。
債券価格が下落する中で含み損を抱えている債券もまだあるようですが、今後に関しては債券利回り上昇による運用損益の改善が進む可能性はありそうです。
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