ポカリの「瓶」は本当にエコなのか 大塚製薬に聞いてきた:メルカリで転売も(5/5 ページ)
大塚製薬は、再利用を想定した「ポカリスエット リターナブル瓶 250ml」を発売した。循環型社会を実現するために、ビンでの販売しているわけだが、さまざまな課題も浮き彫りに。本当にエコな取り組みなのか……。
単体の数値目標は未公開。これからに期待
本記事では、「ポカリスエット リターナブル瓶」のリユースの取り組みにおいて、いくつかの疑問や懸念を提示しているものの、同社のサステナビリティ施策を全面的に疑問視する意図はない。
大塚グループは、製品にリサイクル原料や植物由来原料を使用することによって、グローバルにおける持続可能なPET原料の割合を2030年までに100%とし、50年までに化石資源由来原料の使用をゼロにする「プラスチックステートメント」を掲げている。
この実現に向けて、さまざまな挑戦を重ねている。07年には、「ポカリスエット」500mlペットボトルの製造ラインに日本で初めて「陽圧無菌充填方式」を採用。同社の従来容器と比較して約30%の容器の軽量化を実現した。これにより、年間で約2700トンのペット樹脂量と、約8300トンのCO2がで削減できるそうだ。
22年3月には、リサイクルPET樹脂を30%利用したペットボトル容器の「ポカリスエット(500ml、300ml )」を発売。22年の生産計画に基づく試算では、この取り組みにより、新たな石油由来原料からつくられるプラスチック量が年間で約1000トン、温室効果ガス排出量が年間で約2800トン削減される見込みだという。
今回のリターナブル瓶についても、担当者に数字でのインパクトを尋ねてみたが、「この事業単体での数値目標は公開していない」との回答だった。
個人的な見解ではあるが、このリターナブル瓶のリユースでエコロジーな社会に貢献するには、数字のインパクトも踏まえた適切な伝え方とより回収・返金しやすい仕組み、転売対策などの工夫が求められるのではと感じた。チャレンジの姿勢は評価されるべきものだが、いま必要なのは本質的な気候変動対策だ。
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