ポカリの「瓶」は本当にエコなのか 大塚製薬に聞いてきた:メルカリで転売も(4/5 ページ)
大塚製薬は、再利用を想定した「ポカリスエット リターナブル瓶 250ml」を発売した。循環型社会を実現するために、ビンでの販売しているわけだが、さまざまな課題も浮き彫りに。本当にエコな取り組みなのか……。
返金システムが面倒。すぐ飲めない不便さも
瓶の回収システムにおける手間も、一般的な消費者にとって返却のハードルになるかもしれない。「従来、使い捨てされていた容器や商品パッケージの繰り返し利用を可能にする」というループのコンセプト自体は、非常にエコで共感できる取り組みだ。
しかし、容器代の返金に249円の振込手数料が必要になるため、「ポカリスエット リターナブル瓶」の場合、4本以上返却しないと返金を受け取ることができない。この点をループに問い合わせたところ、電子決済アプリの「Pring(プリン)」を使用すると、月に1回まで登録口座への出金が無料になるとのこと。
ただし、プリンを使用する際、本人確認書類と顔の撮影、会員情報の登録などが必要になり、それなりの手間がかかる。例えば、1本のリターナブル瓶を購入して返金を受け取りたい場合に、ここまでの労力をかける人がどのくらいいるのかは疑問だ。担当者に見解を尋ねると「手間をかけても環境によいことをしたい、という方が一定層いる」と回答した。
「手間がかかることは事実ですが、この取り組みの意義を理解してくださる方は、購入して、飲んで、返却するという循環にご協力いただけるものと考えています」(担当者)
消費者からは、飲む際の不便さを指摘する声も多い。同製品は栓抜きを必要とするタイプで、購入したその場での水分補給には不向きだ。
担当者は、「主に屋内での飲用を想定している。ポカリスエットブランドには、水で溶かす粉タイプ、ペットボトル、ゼリー、アイススラリ(凍らせて飲むタイプ)などの製品があるので、シーンに応じて、お好みのものを選んでほしい」と話した。
瓶の重さゆえ、持ち歩きにも不向きだ。工場から各店舗への輸送については、むしろペットボトルよりCO2の排出量が増えるのではという懸念もある。この点については、「正確に数字を示しての回答は難しいのが現状」だという。
「瓶の返却率も見ながら、輸送を含めたサプライチェーン全体でのCO2排出量の検証は引き続き行っていきます。Scope3(※)を正確に把握し、かつ削減していくには、今後もサプライヤー各社との包括的な連携と協力が重要になると考えています」(担当者)
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