全国を旅する“サウナバス”を走らせてみて、分かったこと:ホームタウンで営業できない!?(2/3 ページ)
3月に営業を開始した、移動式サウナバスの「サバス」が話題だ。引退した路線バスを利用したサウナで、運転席側が休憩室、奥側がサウナ室となっている。「サバス」を全国に走らせてみて、分かったこととは? リバース代表の松原安理佐さんに話を聞いた。
営業をするうえで、難しいポイントは法規制だ。「厳しい保健所が管轄する地域だと、サバスが使えないという場所もあります」と松原さんは説明する。
サウナは入浴の一種にあたるので、「サバス」は保健所から温浴施設として扱われる。地域によって施設の最低面積や更衣室の環境などの設備面を厳しく指定する保健所もあり、そうした場合に営業の許可が下りないのだという。
近年はサウナが流行しているため、サウナに特化した枠組みを用意している市町村も多いが、そうではない地域もある。ただ、不幸中の幸いなのは「サバス」は温泉・スーパー銭湯などの温浴施設からの貸し出し依頼が最も多いことだ。その場合はその施設の中の1つとして扱ってもらえるため、保健所とのやりとりもスムーズで、許可が下りやすいのだという。
「保健所に話をしに行くと、サウナバスという新しい業態に皆さん困ってしまい『他の市ではどうしていましたか?』と聞き返されることが多いんです。本当は、一貫したルールが決まっているといいのですが……。厚生労働省に対して、規制緩和の措置がとれないかと掛け合ったりもしたのですが、かなり難しそうでした」
最大の誤算は、ホームタウンで営業できないこと。「神姫バスは兵庫県姫路市の会社なのですが、姫路市がこれまで話した保健所の中で一番厳しくて。保健所の規定に合わないものは絶対に認めないという方針なので、姫路市で使えないんです」と松原さんは困った様子で話す。
松原さんが目指す「バスが目的地になるサービス」
こうしたさまざまな困難を経験しながらも、サウナバスは好調に運営を続けている。営業開始当初は、関西メディアに取り上げられることが多かった影響で関西の施設から声が掛かることが多かったが、現在では徐々に認知が広がり、全国各地へ出張するようになった。
「サバス」は今後、どのように事業を展開していくのか。もしかして「サバス」の2号車、3号車を作っているのではないか──と思い、松原さんに聞くと、今後はサウナにとらわれずにさまざまなバスを用いた企画にチャレンジしたいと話す。
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