御三家から新々御三家まで! 高級ホテル「外資VS.日系」の歴史:瀧澤信秋「ホテルの深層」(2/5 ページ)
日本政策投資銀行関西支店が、関西で新型コロナウイルスの収束後、1泊10万円超の高級ホテルの客室が約1300室足りなくなるとの試算を公表している。ところで、ラグジュアリーホテルとは何を指すのだろうか。ホテル評論家の瀧澤氏によると……
激増したビジネスホテルのその後
当時、とにかく“造れば入る”と、短期間で開業できる点からもビジネスホテルが増加した(短期間でという点でいうとカプセルホテルやホステルなどの簡易宿所や民泊の激増は一般ホテルの比ではなかった)。ところで、こうしたホテルや施設で多く見られる形態が賃貸方式だ。
オーナーが建物を造れば、オペレーター(運営事業者)は20、30年と、一定期間ホテルとして借り上げ、オーナーに賃料が入るという形態である。まさに多店舗展開しようとするビジネスホテルにピッタリのスタイルである。
誤解を恐れず言えば、オーナーにとってホテルはお金を運んでくる箱であり、ホテルそのものには関心がないという実例も取材で多く見てきた。こうしたリアルはビジネスホテルが激増していく舞台裏でもあったわけで、中には粗製濫造と表せるほどのケースもあり、そうした施設はやはりコロナ禍でより厳しい状況に陥っている。コロナ禍でいえば、約束された賃料がオーナーへ入ってこない事態も多々発生しており、これは別の機会に考察したい。
では、高級ホテルはどうだろうか。インバウンド活況時、「ホテル不足」や「ビジネスホテル激増」という話題ほどではなかったが、高級ホテル不足も広く指摘されてきた。これは、激増する訪日外国人旅行者のうち、富裕層への客室供給を補完する意味はもちろん、都市機能のひとつとして必要であるという認識も持たれてきた。
国際会議などを誘致するためには、スイートルームを有する高級ホテル数など一定以上の条件が必要とされる。グローバルに開かれた都市であるためには、高級ホテルが必要というわけだ。
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