なぜ純木造ビルに挑戦? 耐火・耐震性を保つための技術の粋:日本の林業を活性化できるか(4/5 ページ)
再生可能な資材である「木材」が注目を集めている。大林組が、柱・梁・床・壁全てを木造で構成した純木造の建築物「Port Plus」を建設した。大林組はなぜ純木造高層ビルに挑戦したのか?
木材の魅力を発信し、日本の林業を活性化する
とはいえ、突然構造体から全てを純木造にするのはハードルが高い。Port Plusのように柱、梁、壁、外装まで全てを純木造にした場合、価格は通常の3割以上になる可能性がある。岡さんは「まずは、内装、外装の一部を木材にする“木質化”が進んでいくだろう」と話す。
「木材が人に良い影響を与えることが検証され、定量的な効果が明らかになれば、内装・外装を木質化することによる賃料のアップなど、経済的に採算がとれるようになる可能性があります。Port Plusを実験的に活用しながら、木材が人にどういう影響を与えているのかなどのデータを貯蓄し、公開していくことで、木材のメリットを広め、木材の評価を高めていきたいです」(岡さん)
Port Plus概要
Port Plusは「これからの知を育む場」をコンセプトに、研修施設として活用していく。建物内部はフロアごとに集合研修やディスカッションができるスペース、個人でのワークスペースを設けた。また、研修者用の宿泊施設も設けている。
Port Plusは建物全体でウェル―ビーイングを追求している。木材ならではの肌触りや質感を残し、利用者が落ち着く空間を作り上げた。全館に生きた植物を装飾しているほか、生体リズムを整えるサーカディアン照明も導入。8階には「relaxation room」を設け、利用者が心地よい時間を過ごせるようにした。天井には植物を設置し、鳥の鳴き声などを流しているほか、床からは植物由来のアロマの香りがする空気を送風するなど視覚、聴覚、嗅覚で自然を感じられる空間にしたという。
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