一杯2000円のつけ麺が物議! プライシングの専門家がそれでも「安い」と話すワケ:“適正価格”は一体いくら?(2/4 ページ)
神奈川の人気ラーメン店「らぁ麺 飯田商店」の価格改定がSNS上で物議を醸している。そのワケは、ラーメンが1600円、つけ麺が2000円と、従来のラーメン業界からするとかなり強気ともいえる設定にある。ラーメンの価格が多様化する中、適正価格が果たしていくらなのか、プライシングの専門家が解説する。
属性情報によって適正価格は変わる
このとき見逃してはいけない重要なポイントは、誰が検討外かという観点です。つまり、700円の時、1000円の時に高すぎて買いたくない人は「誰」か、ということです。
「ディズニーチケット」の価格で考えてみます。ディズニーランドにほど近い首都圏在住者と地方在住者では、交通費や宿泊費の観点から、チケット1枚当たりに検討可能な金額が異なるのは容易に想像できます。同様のことがラーメンに対しても起こっているといえば分かりやすいでしょう。
筆者は青森県出身ですが、地元青森で一杯1000円を超えるラーメンを見かけることはまずなく、500円台後半から700円台がほとんどです。1000円を超える場合は観光客をターゲットとしたご当地ラーメンくらいで、地元客はほとんどいません。
つまり、もし地方にラーメン店を出店する際、一杯1000円で考えているのであれば注意が必要ということになります。実際の分析からも、700円の時に高すぎて買いたくない8.0%の層の多くは地方在住者だということが分かっています。
逆にいえば、新宿に出店を考えている場合は、少し高めの1200円だとしても、「高すぎて買いたくない」とした34.7%も、予算検討範囲内に入ると考えることができます。
ラーメンの適正価格を考える際には、全国のラーメン屋を一くくりで比較し「いくらならいいのか」を考えるのではなく、まず店舗があるエリアに着目する必要があります。その上で、そのエリアでラーメンを消費する層がいくらまでが予算内なのかを調査によって明らかにしていくのが良いでしょう。
また営業時間や利用用途もポイントとなります。営業時間が昼の場合、ランチのお財布から支払われ、夜の場合、ディナーのお財布から支払われます。一般的にランチとディナーのお財布(予算)は異なる傾向にあるでしょう。当然、利用用途によってもお財布(予算)は異なります。
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