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実は“看板倒れ”でない東証の市場再編:フィデリティ・グローバル・ビュー(5/5 ページ)
“看板倒れ”との声も多い東証の市場再編。しかし、フィデリティが実際にエンゲージメントを進めていると、そうした評価とは異なる印象を受けます。その理由について、ESG専門家のフィデリティ投信の井川智洋が説明します。
TOPIX見直しは海外マネーの呼び水となるか
今回の市場構造改革の中で、22年10月以降、TOPIXについても見直しが実施され、プライム市場とTOPIX構成銘柄は切り離されることとなります。第1段階として、流通時価総額の小さい企業がTOPIXから段階的に除外されることとなります。東証は第2段階の構想として、将来のTOPIX構成銘柄の選定対象数に上限を設ける可能性、定期的な入替について言及しており、実際にその検討段階に入ったようです。
プライム市場の創設ではグローバル投資家の失望を招く結果となりました。しかし、TOPIXがS&P株価指数同様に、企業が上場後も持続的に価値向上に取り組む仕組みとして機能する枠組みとして見直しがされることとなれば、グローバル投資家の注目を再び集めることができるでしょう。選定の際の基準として、価値創造の状況としてのPBR水準、政策保有株式の保有状況の相対評価なども考えられます。今後の動きに注目しましょう。
井川 智洋
フィデリティ投信 ヘッド・オブ・エンゲージメント兼ポートフォリオ・マネージャー
投資する企業や将来の投資先企業のサステナビリティー課題解決に向けた対話(エンゲージメント)を通じ、企業価値向上に貢献できるよう活動しています。
また、ESGインテグレーションを推進する観点から、ポートフォリオ・マネージャーも兼務。
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