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「乗客1000人未満」でローカル線を廃止? 存廃議論「国は積極的に関与すべき」杉山淳一の「週刊鉄道経済」(6/9 ページ)

国土交通省が7月25日に「地域の将来と利用者の視点に立ったローカル鉄道の在り方に関する提言」を発表。新聞やテレビなどで「乗客1000人未満のローカル線は存廃論議」と報じられているが、断片的な報道より、原典で真意を読み取ってほしい。

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提言の本意は「国がちゃんと関わりなさい」

 この提言で最も重要な部分はどこか。実は31ページの「1000人/日未満」のくだりの前段にこう記されている。

 国の主体的な関与により、都道府県を含む沿線自治体、鉄道事業者等の関係者からなる協議会(特定線区再構築協議会(仮称))を設置し、「廃止ありき」「存続ありき」といった前提を置かずに協議する枠組みを創設することが適当である。

 「国の主体的な関与により」ここだ。国の積極的な関与を求めている。これはローカル線に対する政策の大転換を促す文言で、全44ページの中で最も重い。

 いままでのローカル線問題をざっくり説明すると、こんな流れだった。

【第1段階】

  • 鉄道会社:赤字だから廃止したい
  • 沿線自治体:鉄道を維持してほしい
  • 国:地域と鉄道会社で話し合いなさい

【第2段階】

  • 鉄道会社:せめて公共交通事業者の責任を果たしたいからバスにしたい
  • 沿線自治体:バスはもうある。鉄道を維持してほしい
  • 国:地域と鉄道会社で話し合いなさい

【第3段階】

  • 鉄道会社:どうしても鉄道をというなら、自治体の支援がほしい
  • 沿線自治体:そんなお金はない
  • 国:地域と鉄道会社で話し合いなさい

【第4段階】

  • 鉄道会社:上下分離で負担軽減できるなら運行を継続したい
  • 沿線自治体:上下分離なら国の支援制度を利用できそう。今後も運行継続できる施策を考えましょう
  • 国:それならちょっとくらいはお金を出しても良いよ

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