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「乗客1000人未満」でローカル線を廃止? 存廃議論「国は積極的に関与すべき」杉山淳一の「週刊鉄道経済」(9/9 ページ)

国土交通省が7月25日に「地域の将来と利用者の視点に立ったローカル鉄道の在り方に関する提言」を発表。新聞やテレビなどで「乗客1000人未満のローカル線は存廃論議」と報じられているが、断片的な報道より、原典で真意を読み取ってほしい。

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 ここまで読み取れば、この提言が一部の報道のように「1000人/日未満でローカル線の存廃を足切り」していないことが分かる。線区ごとに、丁寧に「鉄道を生かすか、殺すか」を考えていくべきという話だ。


近江鉄道は上下分離方式で再生が決まった。鉄道がある場合とない場合の社会的費用を試算し、鉄道があるほうが地域の総コストが低いと確認された(出典:国土交通省、地域の将来と利用者の視点に立ったローカル鉄道の在り方に関する提言

 ローカル線問題、地方交通、活性化などに関心のある方はぜひ、提言の本文を読んでほしい。国鉄時代のローカル線問題の解説から始まり、現状の認識、進むべき道。すべてここにある。鉄道会社、国、沿線自治体の責任を明確化しつつ、適切な役割分担を示した。鉄道にとどまらず、自家用車有償交通なども触れており、幅広い見地がある。

 この提言は「新しい地域交通問題の教科書」だ。

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。


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