人は変化を好まない それでも、総務が会社を変えるには?:「総務」から会社を変える(1/3 ページ)
多くの社員は、変化を好みません。それでも、総務は会社に変化をもたらさなければなりません。どのように取り組めば社内を変えられるのか、総務が知るべきチェンジマネジメントの考え方をお伝えします。
変化の3つの側面
前回の記事「テクノロジーが人の仕事を奪う世界で、総務に仕事は残るのか?」で、戦略総務として必要なマインドセットについて記しました。変化を恐れない、むしろ、変化を楽しむマインドセット、です。変化には、自分が変わる、相手を変える、環境を変える、という3つの種類があります。その中で、最も容易なのは、自ら変わることでしょう。
環境を変えるには、それ相応のコストも掛かれば、時間もかかります。さらに、相手を変えることは、実は至難の業です。そもそも人は変化を好みません。それには、以下の理由があると言われます。
- 慣れ親しんだ行動の方が見通しが立てやすい
- 未経験の新たな行動には不安やリスクがつきまとう
- 変化そのものに心理的な抵抗を覚え、変革を好まない
戦略総務として、総務パーソンが自らを変えるマインドセットを取り入れても、このような理由から、社員は変化を嫌います。社内に変化をもたらす新たな施策を導入するには、どうしたらいいのでしょうか? 今回は、総務が会社に変化をもたらすためのチェンジマネジメントについて解説します。
総務はどうすれば、会社を変えられる? チェンジマネジメントの発想
そもそも、チェンジマネジメントとは、変革を効率よく成功に導くためのマネジメント手法です。総務が新たに企画した施策を導入、定着させていくために活用できます。
まず総務が理解すべきことは、「一挙に変革が進むことは、基本的にない」ということです。近年では例外として、コロナ禍で在宅勤務が進みましたが、これは命の危険すら危惧されたために起きた変化です。強制的な環境の変化であり、自主的なものではありません。総務としては、従業員の皆に新企画について理解してもらい、腹落ちした状態を目指したいものです。
「2・6・2の原則」というものがあります。マーケテイングの世界では有名な考え方です。総務的に捉えると、1つの集団の中には、優秀な上位2割、真ん中のどっちつかずの6割、何を言ってもやっても反対する残りの2割、という捉え方です。上位2割は、総務が働きかける以前から既に望むべき状態にある層、あるいは、総務が情報発信すれば、たちどころに理解して変化してくれる層です。
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