東急東横線に「Q SEAT」導入、なぜ“一部”指定席を進めるのか:「座れる」をサービスに(3/4 ページ)
東急電鉄は2023年度以降、現在大井町線で運行している有料着席サービス「Q SEAT」を東急東横線に導入すると決定した。京王電鉄でも一部座席指定列車の導入を検討しているが、なぜ全席ではなく“一部”指定席を進めるのか。狙いは。
東横線に「Q SEAT」を導入する戦略的意味とは?
田園都市線はすでに、大井町線から乗り入れる「Q SEAT」連結列車を運行している。東横線は東急電鉄のメイン路線であり、渋谷と横浜を結ぶ。東京メトロ副都心線や横浜高速鉄道みなとみらい線に乗り入れている。東横線の渋谷駅は、島式ホーム2面4線であり、駅管理業務は東急電鉄、さらに渋谷始発の東横線列車も設定できる。
そんなこともあってか、東横線で23年度以降に「Q SEAT」のサービスを提供することになった。4号車と5号車に設定するという。全車両指定ではなく一部指定というのは、本数を増やしたい考えだと見て取れる。
沿線には高所得層も多く、お金のかかる上等なサービスを提供しても好意的に受け止めてもらえる素地もある。この路線でこそ、東急グループはいいサービスを提供したいのではないか、と見ることも可能である。
沿線住民に向けて、よりよいサービスを提供し、長く暮らしてもらうのも「選ばれる沿線」戦略の基本である。東横線に「Q SEAT」連結列車を多く走らせ、利用者に乗ってもらうことで、東急グループへのロイヤルティを高める効果がある。
コロナ禍、東急電鉄沿線にはテレワーク可能な企業に勤めている人が多いこともあってか、利用者が減っている。利用者減をカバーするだけでなく、いまでも鉄道を利用している人によりよいサービスを導入するのが、「Q SEAT」が東横線で走る意味である。
ほかにも、関東の大手私鉄で部分的な座席指定車両を導入しようとしているところがある。
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