東急東横線に「Q SEAT」導入、なぜ“一部”指定席を進めるのか:「座れる」をサービスに(4/4 ページ)
東急電鉄は2023年度以降、現在大井町線で運行している有料着席サービス「Q SEAT」を東急東横線に導入すると決定した。京王電鉄でも一部座席指定列車の導入を検討しているが、なぜ全席ではなく“一部”指定席を進めるのか。狙いは。
京王電鉄は「京王ライナー」に加えて一部座席指定列車も
京王電鉄では、18年2月から座席指定列車「京王ライナー」を運行している。「京王ライナー」のために、ロング/クロス転換座席を備えた5000系を導入した。
「京王ライナー」は現在、夕方と夜間の京王八王子、橋本行きに加え、朝時間帯の新宿行き、高尾山口への行楽列車なども設定されている。21年10月から土休日のみ、22年3月からは平日の列車も明大前に停車するようになり、渋谷方面へのアクセスが向上した。
「京王ライナー」の列車ダイヤを見ると、既存のダイヤに挿入する形で運行している。一方、「京王ライナー」のように全車両座席指定ではなくても、新宿や明大前から座りたい需要があることも確かだ。
新宿駅で京王電鉄を利用している人々を見ると、何本か遅らせてもいいから座りたい人がいることに気付く。一方、新宿発の「京王ライナー」は時間帯が決まっている。
京王電鉄は22年度の鉄道事業設備投資についての文書の中で、「一部座席指定列車の導入等による終日運行の検討を進める」と明かしている。つまり、1両か2両座席指定車両を設定し、列車によっては着席サービスを提供するというものである。
京王電鉄の新宿発特急の混雑はコロナ禍でも続いており、新宿へ向かう特急も、混雑していることが多い。京王では特急が最も混雑する列車種別となっている。ちなみに、京王の特急は特別料金を徴収しない。
京王電鉄利用者の多くに「着席したい」というニーズがあって、それがどの時間帯でも見られる以上、部分着席サービスを導入する決断を下したのは正しい。需要に対してサービスを供給し、乗客のロイヤルティを高めることは東急電鉄と同じだ。特に明大前から京王八王子、橋本方面で「着席したい」と思っている人は多いだろう。
京王電鉄も「選ばれる沿線」戦略を採用しており、近年はその傾向を強めている。良いサービスを提供する路線という評価が沿線住民に広がり、同じ沿線から離れられないようにするのが、東急グループや京王電鉄の基本的な戦略である。
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