オリオンビール、発売1年未満で缶チューハイをリブランド リピート率が高かったのに、なぜ?:地域経済の底力(4/4 ページ)
オリオンビールのnatura WATTAは、沖縄県産の果実で、かつ防腐剤およびワックス不使用のものだけを原材料として活用。消費者のウケは悪くなかったものの、ビジネス上の課題もあってなかなか売り上げ拡大につながらなかった。そうした反省を踏まえて、発売から1年もたたない今年7月に商品のリブランドに踏み切ったのである。その背景を取材した。
ストレート果汁と濃縮還元果汁の違いをアピール
リニューアルに関する、もう一つの取り組みはパッケージデザインの刷新である。
「以前のデザインはシンプルで無垢な感じが良かった一方で、プレミアム感が足りないという評価もありました」と新垣氏は振り返る。
そこで金帯をつけるなど、全体的に豪華なデザインに変えた。さらに、「ストレート果汁」を使ったサワーであることを前面に押し出している。
「いかにしてWATTAから切り離すかということに加えて、ストレート果汁をより強く伝えることがリブランディングの課題でした。パッケージは裏表同一のデザインにせずに、ストレート果汁への理解を深めてもらうようなメッセージを載せました」(新垣氏)
ストレート果汁と濃縮還元果汁の違いが分かりにくいという消費者に対しては、同社のWebサイトで、図解で説明するなど、理解促進のための取り組みをしている。
発売して間もないため、売れ行きなど市場の反応についてはこれから明らかになるという。ただし、コロナ禍の影響で大々的な夏の販促イベントが開催できなくなっており、出鼻(でばな)をくじかれた状況だ。しばらくはSNSによる情報発信など、できることを地道に進めていく。
著者プロフィール
伏見学(ふしみ まなぶ)
フリーランス記者。1979年生まれ。神奈川県出身。専門テーマは「地方創生」「働き方/生き方」。慶應義塾大学環境情報学部卒業、同大学院政策・メディア研究科修了。ニュースサイト「ITmedia」を経て、社会課題解決メディア「Renews」の立ち上げに参画。
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