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紙巻の撤退はある? 「ケント」や「glo」の英BATが進める“加熱式移行”戦略:最高マーケティング責任者を直撃(2/4 ページ)
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンが、加熱式たばこ専用デバイス「glo hyper X2」を発表した。BATグループにとって、日本はどのような位置付けなのか。英BAT最高マーケティング責任者を直撃した。
日本は“グローが生まれ育った場所”
――グループ全体として見た日本市場の現状を教えてください。
当社にとって日本は非常に大事な市場であり、加熱式たばこの分野においても大きな市場です。グローは、2016年に仙台で販売を開始しました。まさに、“グローが生まれ育った場所”だと考えています。
日本におけるグローのユーザー数は22年4月末時点で約320万人。BATJの製品売り上げの47%をグローが占めています。新デバイスの投入により、ユーザーのさらなる増加を狙っています。
キングズリー・ウィートン 英BAT最高マーケティング責任者。1996年ロスマンズ・インターナショナルへ出向 (99年にBATと合併)中東地域 グループ・ブランド・マネージャー、BATナイジェリア マーケティング・ ディレクター、BATロシア ゼネラルマネージャー、BAT本社 米国およびサハラ以南のアフリカ地域 エリアディレクターなどを務め、2019年より現職
――他の市場に比べ、日本は加熱式がすごく支持されていると競合他社も話しています。なぜ支持されていると考えていますか。
当グループでは製品のマルチカテゴリー化を目指し、非燃焼性の製品としてベイパー、加熱式、オーラル(かぎたばこ)を展開しています。なぜ、多角化を目指しているかというと、世界中の消費者や市場、当局の規制が全く異なるからです。
一つ例を挙げると、日本と米国では、カテゴリーのマーケット自体が全く異なります。日本ではニコチンを含むベイパーを販売すると、医薬品に近い形になってしまいます。一方で、米国では加熱式がなかなか手に入りにくい傾向が見られます。
また、テイストや好みも消費者によって異なります。軽いテイストが好まれる地域では加熱式を、強いテイストが好まれる米国などではベイパーを中心に展開しています。
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