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ウェルスナビ“自然体”の四半期黒字化 クレカ積立で狙う次の一手金融ディスラプション(2/3 ページ)

ロボアドバイザーサービス最大手のウェルスナビが、2020年末の上場から2年半で四半期黒字化した。柴山和久CEOは「成長投資を維持しながら、自然体での黒字化を達成できた」と話し、22年12月期は通期黒字も見込む。

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市場環境の変動が業績に影響

 SaaS的な事業モデルとして同社はARRを公表しており、第2四半期では62億8400万円に達した。前年同期比で41%の成長だ。しかし、21年の冬頃からその伸びは鈍化している。理由は、同社の売り上げが預かり資産の約1%というモデルであり、預かり資産残高の伸びも鈍化しているためだ。


営業収益(売上高)とARRの推移

 ただしこれはユーザー数の伸びや、顧客の積立額の伸びが鈍化したためではない。第2四半期、顧客の入金額から出金額を引いた簿価ベース預かり資産は404億円増加した。一方で、預かり資産の伸びは128億円にとどまっている。この差額は何かといえば、運用の不調だ。

【訂正:8/17 預かり資産額の数値が誤っておりました。お詫びし訂正いたします。】

 同社の運用は世界株式インデックスを中心に米債券インデックスやREITなどを組み合わせたものだ。そのため運用の巧拙ではなく、相場環境が不調だったというのが正確だ。世界の株式時価総額の約半分を占める米国の相場低迷により、特に高リスクポートフォリオを中心にパフォーマンスは悪化した。ただし幸いなことに、同時に円安も急速に進行したため、円建ての資産価値は大きくは落ち込んではいない。


直近半年で、世界株式特に米国株は調整に見舞われた。ウェルスナビが提供するポートフォリオでも、最も株式を多く含むもので18%程度下落した。一方、同時に進行した円安のせいで、円建ての資産価値は3%程度の下落にとどまっている

 預かり資産残高に連動した売り上げという事業モデルである以上、相場が好調なタイミングでは売り上げも押し上げられるが、相場が下落すると顧客が増加していても売り上げが成長しないリスクがある。

 このような市場環境の中、同社は売上高予想を2.2%下方修正することも発表している。併せて、預かり資産残高も、36%増加の8602億円という当初予想から、20%増加の7614億円に下方修正した。そして簿価ベースの預かり資産残高も、50%増の7790億円から、25%増の6497億円に変更している。

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