ゲームは「無料」から「稼ぐ」時代へ Play to Earnゲーム台頭の裏側(後編)(5/5 ページ)
日本を代表するゲーム会社がこぞって、Play to Earnゲームに注目している。Play to Earnゲームとは、プレイすることで稼げるゲームのことだ。Play to Earnゲーム台頭の背景は、立脚するブロックチェーンまわりの動向も複合的に絡むものである。Play to Earnゲームの実例に触れながらその背景を探ってみたい。
「稼ぐ」要素をゲームにどう融合させるか
これらのような課題はあるものの、Play to Earnゲームはまだ黎明期といった段階であり、今後大きな発展の可能性を秘めている。個人的には大きな方向性として「ゲームとしての発展」の方向性と、「稼げる」ユースケースの社会実装の2つのトレンドがあると考えている。
ゲームとしての発展に関して、プレイを楽しむためのゲーム(Play to Playゲーム)や、特にソーシャルゲームの発展から始まった無料でプレイできるゲーム(Free to Playゲーム)の次の波として、Play to Earnゲームは位置付けられることがある。
これまでゲームに費やしてきた膨大な時間を使って獲得したゲーム内通貨や各種ゲーム内のアイテムが財産的価値を持つことで、「稼ぐ」ことを前提としたインセンティブを体感してもらうことができる。
一方でPlay to Earnゲームは、未だゲームの内容自体のシンプルさや、長期的なゲームを楽しむための展望を打ち出せるものがまだ少数といった状況でもある。中長期的にゲームを楽しむことと、「稼ぐ」要素をうまくゲームの中に混ぜ込むような工夫が今後必要になると思われる。
「稼げる」ユースケースの社会実装という観点では、Play to EarnゲームのPlayのみならず、◯◯ to Earnとでもいえるような事例が目立つようになっている。例えば、オーストラリアのFind Satoshi Labという企業によって世に送り出された、ステップン(STEPN)という「歩いて稼ぐ」ゲームアプリがある。
これはMove to Earnとも呼ばれ、歩くことで暗号資産がもらえる仕組みだ。ステップンのようなMove to Earn領域だけでも、アグレット(Aglet)やジェノペッツ(Genopets)のような後発サービスも生まれており、ブロックチェーン技術に立脚した暗号資産やNFTを用いた他のアプリケーションが次々と生まれてきている。
このようにPlay to Earnゲームは、ゲーム自体としての発展と、大きな意味でのWeb3領域での「稼げる」ユースケースのかなり早い段階での社会実装の実例という2つの方向性をはらんでいる。事業運営上の課題はあるものの、今後のブロックチェーンを活用したアプリケーションの中でも比較的身近なユースケースであり、今後の動向に注目である。
筆者プロフィール:桑原惇 ビットバンク事業開発部部長
株式会社ビズリーチにて法人営業に従事後、2019年8月よりビットバンク株式会社に入社。新規事業、機関投資家営業等を担当後、2020年7月より事業開発部マネージャー、2021年8月より事業開発部部長。主に新規事業、アライアンス、新規暗号資産取扱業務、投資、広報領域を担当。Twitter:@kwbr83
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