鉄道貨物の諸問題解決が急務、運送業界「2024年問題」に備えよ:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(10/10 ページ)
「日本の列車はダイヤに正確」は、旅客列車に限った話だ。貨物列車は、全国ネットワークで長距離を走るから、障害が起きれば遅延は全国に波及。JR貨物の公式サイトには、貨物列車の運休や遅延の関する「お詫び」が毎日のように掲載されている。
私たちはもっと貨物列車を知るべきだ
鉄道貨物の良さと必要性を広めるために、貨物鉄道ファンもお役に立てるかもしれない。SLはカッコいい。でもディーゼル機関車や電気機関車もカッコいい。鉄道コンテナの種類はいろいろあって、用途や形、色などを調べると面白い。貨車にコンテナを積む様子は、パズルゲームのモチーフになると思う。そんなところから始めてもいい。鉄道貨物に興味を持っていただき、鉄道貨物の重要性について理解を広める。それが日本の物流を救い、日本をもっと豊かにする手段ではないか。
最後に、本稿に関する資料を集めているときに見つけたクラウドファンディングを紹介する。「線路は続くよあなたの元へ! 鉄道貨物輸送の大切さを伝えたい」というプロジェクトは、ひとりの貨物鉄道ファンが立ち上げた。「2024年問題」が間近に迫るなか、「日本全国を走る貨物列車を紹介し、鉄道貨物輸送の大切さを伝えていきたい」という。
個人の趣味を充実させたいというだけのプロジェクトなら支援しない。しかし発起人は個人事業として「貨物鉄道ジャーナル」を立ち上げた。鉄道貨物を紹介し、理解を広めたいようだ。知り合いではないから発起人の人となりは分からないけれど、志は評価したい。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。
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