累計15万個を超えた! 「パン冷凍保存袋」が売れている秘密:担当者を取材(4/5 ページ)
マーナ社の「パン冷凍保存袋」をご存じだろうか。特徴は、冷凍保存にありがちなニオイ移りや乾燥を防ぎ、パンのおいしさを保つこと。パン好きの人を中心に売れているが、その要因はどこにあるのか。担当者を取材した。
「すのこ」効果で冷凍ご飯がおいしくなる容器も
マーナ社は1872年に創業し、生活雑貨メーカーとしてさまざまなヒット製品を生み出してきた。2022年上半期の同社ヒットランキング(キッチン部門)をみると、ヒット中の「パン冷凍保存袋」を抑えて1位になったのが、冷凍したご飯をおいしく食べる目的で開発した「極 冷凍ごはん容器 2個入り」(638円)だ。
20年2月に発売され、累計出荷数は35万個に達した(22年8月2日時点)。直近の売れ行きは非常に順調で、22年1〜6月の出荷数が21年の年間出荷数に到達したほど。「一度購入して気に入った人がリピート購入するケースもある」と開発担当者の岩崎氏はいう。
同商品は、ご飯をよりおいしくするための「極シリーズ」の一商品として、20年2月に発売された。極シリーズは、全国米穀販売事業共済協同組合(全米販)、及びお米マイスターの徳永真悟氏と共同開発しており、「極しゃもじ」や「極 お米保存袋」などがある。
さまざまなお米関連の商品を発売するなかで、「冷凍ご飯をよりおいしく食べられる容器があればいいよね」という声が社内からも顧客からも聞かれ、開発にいたったという。開発の過程では、ジッパー袋やラップ、一般的なタッパなどで冷凍保存し、解凍時にどんな課題があるかを洗い出した。
「下のほうのご飯がベチャベチャする、容器の角の部分のご飯が一部固くなってしまうなど、おいしさを損なう要素を拾い上げ、それを避けられる形状や仕様を探っていきました。1年ほどかけて数々の試作品をつくり、開発チームで食べ比べをする中で、現在の仕様にたどりつきました」(岩崎氏)
「極 冷凍ごはん容器」は、ご飯1膳分(約180グラム)を保存できる容器の底に「すのこ」が敷かれている。解凍したときに余分な水分がその下にたまるため、均等な食感になりやすい。さらに四隅を丸くして高さがない形状にすることで、ご飯をムラなく温め、一部が固くなるのを防ぐという。
実際、冷凍保存後に解凍したご飯を食べてみたところ、食感の良さは分かりやすく感じられた。これまで四角いタッパで冷凍保存すると時々固くなる部分があったが、「極 冷凍ごはん容器」では、その悩みが解消されそうだ。
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