累計15万個を超えた! 「パン冷凍保存袋」が売れている秘密:担当者を取材(3/5 ページ)
マーナ社の「パン冷凍保存袋」をご存じだろうか。特徴は、冷凍保存にありがちなニオイ移りや乾燥を防ぎ、パンのおいしさを保つこと。パン好きの人を中心に売れているが、その要因はどこにあるのか。担当者を取材した。
着想のキッカケは「高級食パンブーム」
牧谷氏が「パン冷凍保存袋」のアイデアを思いついたのは、19年半ばごろだったという。高級食パンが大きなブームになっていた当時の現状を踏まえ、味にこだわったパンをおいしいまま冷凍保存できる製品をつくろうと考えたのだ。
「これだけ高級食パンの店舗が増えているにもかかわらず、当時はパンの冷凍保存専用の製品が見当たりませんでした。他社から『常温でパンの風味を保ち、カビが生えにくくなる』という特徴を持つフィルム状の袋が出ていたぐらいです。これだけパンが人気なら、おいしく冷凍保存したい需要はあるだろうと思いました」(牧谷氏)
開発にあたっては、創業1974年のパン・料理教室「ホームメイドクッキング」へ協力を仰いだ。両社は以前にも共同開発の実績があり、大ヒット製品を生み出している。外はサクッ、中はふわっとしたおいしいトーストを焼くことができる「トーストスチーマー」だ。そこで、今回もパンのプロの意見をもとに開発を進めたという。
「おいしさを追求するため、弊社のパン冷凍保存袋は、空気や光の透過性が圧倒的に低いアルミ箔を採用しました。現在、他社から出ている価格が安い類似製品は、ほとんどがアルミ蒸着を採用していて、これは細かいアルミの粉をシートに付着させる方法です。2つを比較すると、アルミ箔のほうが光や空気を遮(さえぎ)る能力が圧倒的に高いんです」(牧谷氏)
マーナ社の「パン冷凍保存袋」は、半斤サイズが748円、一斤サイズが980円(いずれも2枚入り)と他社の類似製品と比較すると、やや値が張る印象だ。これはアルミ箔かアルミ蒸着かの違いであり、それが効果の違いを生むと牧谷氏はいう。
そうして完成した「パン冷凍保存袋」は、発売直後に準備数を超える需要があり、公式サイトでしばらく入荷待ちの状態が続いた。社内の期待値を大きく超える反響だったわけだ。その後もテレビ番組やSNSでの紹介、店頭でのPRなどにより着実に数を伸ばしている。
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