都のコロナ協力金、不正受給総額3億円超え 累計で64件、最大5900万円(2/2 ページ)
東京都が飲食店向けに支給している「営業時間短縮等に係る感染拡大防止協力金」を巡り、不正受給額が総額3億円に達したことが都産業労働局への取材で分かった。今後も総額や累計件数が増加する可能性がある。
都の協力金支給額、一律6万円から規模別に変更
都の協力金は、中小の飲食店事業者が当初の支給対象だった。だが、都内でチェーン展開する大企業の店舗が対象外だったことで、サイゼリヤなどが反発。業界団体の「日本フードサービス協会」も大手企業を対象とするよう要請するなど、業界からの反発も大きくなっていた。
これを受け、都は21年1月、大企業向けの協力金を新設。サイゼリヤは21年8月期の連結決算で、協力金65億円を計上し、通期純利益が当初見込みの3倍になるとして上方修正するなど、従業員の雇用維持に一定の効果は出ている。
ただ、当初は事業規模に関係なく、1日の支給額が一律6万円だったため、都内でチェーン展開する大企業と、中小事業者間で格差が生じる課題が生じた。コロナ禍前の売り上げが1日6万円にも満たない小規模経営の店舗の場合でも、制度上は月額最大180万円の協力金を得られるため、業界内を中心に批判の声が噴出していた。
その後、政府の方針変更によって、都も支給額を売上高などの事業者の規模に応じた支給制度に変更。事業者間の不公平感解消につなげたが、その一方で申請件数も増加。5900万円の不正受給のケースのように、支給の迅速性を優先させた結果、現場視察など事業者の実態把握がままならないまま、公金が投入され、支給後に不正受給が発覚するようなケースが相次いでいる。
例えば都内では、不正受給でベトナム人社長が逮捕されたケース(裁判で無罪判決)や、不正受給による公表には至っていないものの、週刊文春の報道(2021年6月24日)で、緊急事態宣言下で自身が経営する飲食店で飲み会を開催しながら、都の協力金も得ていたとしてチャンネル登録者400万人以上の大物YouTuberが自主返還するといったケースが発生している。
不正受給・虚偽申請は詐欺罪 10年以下の懲役刑の可能性
コロナ禍では協力金の在り方を巡って課題が浮き彫りになった。しかし、当然のことながら、協力金の虚偽申請や不正受給は詐欺罪という列記とした犯罪だ。逮捕され、有罪となった場合は10年以下の懲役刑となる。
各自治体や厚生労働省は不正受給の抑止に向け、通報窓口の設置など取り締まりを強化している。全国で新型コロナの陽性者数が再び増加する中、事業者には適切な制度活用が求められそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ソニーの「着るエアコン」“バカ売れ” 猛暑追い風に「想定以上で推移」
連日の猛暑が続く中、ソニーグループ(ソニーG)が4月に発売した、充電式の冷温デバイス「REON POCKET 3」(レオンポケット3)の売れ行きが好調だ。同製品は「着るエアコン」とも呼ばれており、ビジネスパーソンを中心に売り上げを伸ばしている。
システム障害でATM停止──「キッザニア」運営元が謝罪 Twitterで「リアルすぎる」など反響
子ども向けの職業体験テーマパーク「キッザニア」で銀行のシステム障害という現実世界さながらのトラブルが発生した。運営元のKCJ GROUPが明らかにし、子どもや保護者に「深くおわびする」と謝罪している。
「朝日新聞」電子版、全記事有料に 課金路線に舵、「不動産が本業」払拭なるか
朝日新聞の電子版「朝日新聞デジタル」の無料会員制度が廃止され、一部を除き、全記事が原則有料となる。発行部数の減少で業績が低迷する中、開始から10年を迎えたサービスを改善するとともに、課金路線への転換を本格化させる。
抗原検査キットには「体外診断用医薬品」を──消費者庁が注意喚起 「『研究用』では新型コロナ感染チェックできない」
新型コロナウイルスの感染が再拡大していることを受け、自宅で簡単に陽性・陰性を判定する「抗原検査キット」に注目が集まる中、「研究用」と記載された商品の使用を巡って、消費者庁が事業者などに注意を呼び掛けている。
タイガーとサーモスの「炭酸対応ボトル」、猛暑で販売好調 節電ニーズも追い風に
記録的な猛暑が続く中、タイガー魔法瓶とサーモスが販売する、炭酸飲料の持ち運びに対応した魔法瓶の売れ行きが好調だ。販売数が前週比で倍増しているケースもあるという。
コロナ禍ならでは? Zoffの「薄色レンズ」サングラス、販売好調の理由
メガネブランド「Zoff」(ゾフ)で、レンズの色が薄い「ライトカラー」のサングラス販売が好調だ。理由などを運営元のインターメスティックに聞いた。
ダイキンが推奨するエアコンの風向きは? 節電のコツは「温度ムラの抑制」
猛暑が続き、政府が企業などに節電を要請する中、ダイキン工業が「電気代を抑えながら 快適に過ごすエアコンの上手な使い方」と称し、エアコンの節電方法をPRしている。
テレビ朝日、家庭の電力使用量グラフから「テレビ」削除で物議 「丁寧さに欠けていた」
テレビ朝日が家庭の電力使用量に関するグラフを加工して番組で紹介したとして物議を呼んでいる。Twitterで拡散されている画像によると、番組ではグラフから「テレビ・DVD」の使用分(8.2%)をカットして放送していた。Twitterでは「捏造だ」「悪質すぎる」などの声が挙がっている。





