前澤氏の「突拍子もない」提案に、どうブレーキをかけた? ZOZO柳澤CFOに聞く:対談企画「CFOの意思」(2/3 ページ)
対談相手はZOZO柳澤孝旨CFO(「やなぎ」は、正しくは木へんに「夕卩」)。創業株主で大株主だった前澤友作氏とのコミュニケーションに、副社長兼CFOとしてどのように取り組んだのか。マザーズ上場から5年かかって成し遂げた東証一部上場の舞台裏とは。
マザーズ上場を果たせても、容易ではなかった東証一部上場
嶺井氏: 2006年に監査役に、09年にはCFOに就任されました。この約15年の間、どのような壁があったでしょうか。
柳澤氏: 大きな壁が2つありました。1つはマザーズ上場のとき、2つ目は東証一部上場に関連したものです。
マザーズ上場時は、まさにカオスでした。監査役として参画してみたら経理システムもないのに、いきなり来月が直前期という状態で、管理部門を作るところからアドバイスする必要がありました。幸い、約2年ほどで上場できましたが、激動の2年でしたね。
当時、どこの会社でも株式市場に上場できたらすぐに東証一部上場を目指すのがトレンドで、当社も目指していました。数字的に問題ないことが分かっていますし、審査慣れしているという理由もありました。
ところが、なぜか審査が通らない。約5年もかかってしまった、というのが2つ目の壁だったと考えています。
嶺井氏: 準備負担もさることながら、担当メンバーのモチベーションを考えると5年はきついですね。5年間、ずっと準備されていたんですか。
柳澤氏: いえ、いったん止めました。再スタートからは約2年で上場を実現できました。ただ、その2年が大変でした。
嶺井氏: 東証一部への鞍替えのタイミングで、CFOとして指摘されたポイントと地道に向き合うというのも大変だったかと思いますが、それ以外にも何かあったでしょうか。
柳澤氏: 管理部門以外の従業員は、自社が上場している市場をそこまで気にしていません。そのため、5年も上場準備をしていると疲弊してしまうのですよね。その意識のギャップを埋めるコミュニケーションを取りつつ、上場に向けて鼓舞し、かつ現場に負担を負わせない、もしくは負担だと思わせないように対応していく作業が大変でした。
でも、逆にそれが功を奏して全社的に前向きになってくれ、上場実現したのかなと思います。
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