ローソン、AIを活用した値引きを強化 人間の経験に頼らないオペレーションを目指す:実証実験も好調(2/2 ページ)
ローソンが、AIを活用した値引きを全国に拡大する。現状は担当者の感覚や経験に依存していた。オペレーションの効率化、フードロス削減を推進できるか。
実証実験の結果は?
今までに東北、東京エリアで実証実験を実施。1回目は21年6月から東北6県で開始した。毎日午後4時に値引き推奨を実施し、AIが導いた商品と値引き額、個数、値引き実施後のバーコードを店舗の専用タブレットに配信。店側がそれらの情報を取り込むことで値引きシールが印刷できる。対象カテゴリーは弁当、常温すし、おにぎり、調理パンなど60SKUとした。(※SKUとは在庫管理分野で広く用いられる単位。例えばアパレルなら同じデザインTシャツで色が2パターン、サイズがS/M/Lある場合は、6SKUとなる)
実証実験の結果、廃棄金額は約2.5%削減、粗利額は約0.6%増加した。また、値引きが適正化されたことで、販売増にもつながったという。店舗のオーナーからは「値引きした商品が売れるようになり、廃棄削減につながった」「値引きのオペレーションに自信がなかったが、適正な値引きができるようになった」などの意見が挙がった。
現在は、東京都内162店舗でも同様の実験を進めている。東北での結果を受けてオペレーションの効率化を高めたほか、立地や売り上げ、直営、フランチャイズなど条件を変えて実験をすることで、全国展開に向けての実現性を高めていく。
都内の実験では、対象カテゴリーを広げ、品目数を270SKUに増やしたほか、値引推奨回数を1日4回に変更。値引推奨を行う時間を選択式にすることで、各店舗でオペレーションに組み込みやすいようにした。また、2段階値引きを実施することで、廃棄率のさらなる削減を目指す。
都内の実証実験では、廃棄額は該当カテゴリーで4%削減、粗利額については該当カテゴリーで約1%増を見込んでいる。
今後の課題
実証実験では課題も明らかになった。オペレーションの執行度だ。値引きする、しないの決定権は店舗にあるため、納得してもらえないと実行につながらない。今後は「なぜこの値引き額になるのか」「なぜ値引きをあえてしないのか」などの説明を強化し、実施率を高めていく。
同社は23年度中にAI値引きの取り組みを全国に拡大し、30年までに18年度対比で50%、50年までに100%の食品ロス削減を目指す。また、値引き情報の利用者への告知や、値引きの検証データの商品開発への活用なども検討していく。
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