トヨタ「シエンタ」とホンダ「フリード」、争いの歴史: 鈴木ケンイチ「自動車市場を読み解く」(2/3 ページ)
8月23日、トヨタの「シエンタ」がフルモデルチェンジを行い、第3世代となる新型モデルの発売がスタートしました。シエンタは、1.5リッター・クラスのエンジンを搭載するスライドドアを持つ3列シートのミニバンです。いわゆる「コンパクト・ミニバン」と呼ばれ、3列シートのミニバンとしては最小クラスとなります。今回は、そのシエンタの歩んできた歴史とコンパクト・ミニバン市場の成長を振り返ります。
新ジャンルを開拓したホンダ、モビリオ
01年の年間の新車販売ランキングを振り返ると、3位に「ストリーム」、5位に「ステップワゴン」、6位に「フィット」、9位に「オデッセイ」という具合に、ベスト10の中4台を送り込むほどホンダが好調でした。その勢いが、これまでにない1.5リッターのミニバンという新ジャンル開拓の力になったのでしょう。実際に「モビリオ」は、新ジャンルに挑戦するというだけでなく、非常にユニークなスタイルをしていました。ウエストラインが非常に低く、しかもスクエア。窓が大きく、まるでガラスの箱そのもののようなエクステリアを備えていたのです。
勢いというのはすごいもので、翌02年にはモビリオは年間7万2000台ほどを販売して、年間販売ランキングで10位にランクイン。見事に、コンパクト・ミニバンというジャンルを切り開きました。
そして03年、トヨタも負けじとばかり、コンパクト・ミニバンの初代「シエンタ」を投入します。斬新なモビリオに対して、シエンタは丸目のヘッドライトこそキュートなものの、全体としては、非常にオーソドックスなエクステリアで勝負します。しかし、シエンタは、04年の年間販売約6万8000台、年間ランキング13位を最高として、じわじわと販売数を落としてゆきます。同じようにモビリオの数字も悪化し、07年には販売も終了となってしまいました。
この最初の01〜07年ごろのコンパクト・ミニバン市場の規模は、2台合わせて7〜12万台といったところでしょうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ステップワゴンが予告から半年も売らなかったワケ ホンダ、ロング・ティーザーの狙い
5月27日に、ホンダのミニバンである「ステップワゴン(STEP WGN)」が発売となりました。しかし正直なところ、「やれやれ、ようやく発売になったのか」というのが筆者的な感想です。それは新型登場の予告が半年も前に行われていたからです。
実は日本で一番に売れている「メルセデス・ベンツ」 高級車の象徴はなぜ輸入車ナンバー1に至ったのか?
今、日本で最も数多く売れている輸入車は何かといえば、それは「メルセデス・ベンツ」です。しかし、メルセデス・ベンツが日本で一番多く売れるブランドになったのは、ここ最近の話。かつてのメルセデス・ベンツは「高級車の象徴」であり、販売される数もそれほど多いものではありませんでした。
マツダ・ロードスターが玄人受けする理由 マイナーチェンジで大絶賛
改良された「ロードスター」が、びっくりするほど好評です。試乗会を実施しました。そのレポートを見てみれば、どれもこれも好評、というか、ほぼ絶賛の嵐といった具合。いったい、そこにはどんな理由があるのでしょうか?
ディーゼルはオワコンなのか? 輸入車の現状とハイブリッドとの戦い
電動化が注目されるほどに存在感が薄くなっていくものがあります。それがディーゼル・エンジンです。「ディーゼル・エンジンは消えてなくなる」……と思いきや、世の中は単純ではなかったようです。
ミニが6年連続の輸入車種ナンバー1に その人気の理由とカラクリ
BMWのMINI(ミニ)が6年連続の新車販売ナンバー1を獲得しました。そこには、いくつかの理由が考えられます。そして、その前提としてBMWミニが上位につけるカラクリが存在します。
