コラム
採用時の「身元保証書」、運用ルールに変更が? 法改正の内容をチェック:正しい運用を知るQ&A(2/4 ページ)
従業員を採用する際、「身元保証書」を提出させたものの、法令に沿った適切な運用ができていないケースは少なくないようです。2020年4月に施行された民法の改正内容を踏まえ、法令に沿った身元保証書の要件と正しい運用の仕方について確認します。
Q: 身元保証契約の自動更新は認められますか?
A: 認められません。更新の手間を省くために、賃貸借契約などに見られる期間の「自動更新」を定めておきたいと思われるかもしれません。例えば、「保証期間満了の3カ月前までに使用者に対して書面で契約を更新しない旨の申し出をしなかったときは、身元保証契約は期間満了の日から引続き同一期間、同一条件で更新する」といった条項です。
しかし、身元保証契約では自動更新は無効となります。身元保証法では、身元保証人の責任を限定するべく期間を限定した法の趣旨から、期間が自動的に更新されていつまでも身元保証人が責任を負う可能性のあるような定めは無効とされるのです。
Q: 身元保証人が負う損害額はどのようにして決まりますか?
A: 身元保証人が負う責任の金額は、裁判所が決定した合理的な額に制限されます。全額は難しく、せいぜい損害額の2〜3割程度の賠償を求め得るに過ぎないのが実情です。
身元保証人が負う損害額について、身元保証法は「裁判所は身元保証人の損害賠償の責任及び其の金額を定むるに付き被用者の監督に関する使用者の過失の有無、身元保証人が身元保証を為すに至りたる事由及び之を為すに当たり用いたる注意の程度、被用者の任務又は身上の変化其の他一切の事情を斟酌す」と定めています(身元保証法5条)。
通常は、全額の賠償が命ぜられることはありません(図表1)。
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