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減塩食の「物足りない感」を解決 “しょっぱく”なるスプーンとお椀、キリンと明大が共同開発23年末の市販化目指す(2/3 ページ)

キリンホールディングスと明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科の宮下芳明研究室は、減塩食品の塩味を約1.5倍に増強させるスプーンとお椀型のデバイスを開発した。今後は実証実験を行い、2023年末の市販化を目指す。

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電気味覚で物足りない……を解消

 そこで同社と宮下研究室は、19年から「電気味覚」の共同研究を開始。22年4月には箸型デバイスを開発し、減塩食を食べたときに「感じる塩味が1.5倍程度に増す」ことを世界で初めて確認した。これは、人体に影響しない微弱な電流を用いて、食品中のナトリウムイオンの働きをコントロール。疑似的に“しょっぱさ”が増したように感じることができるもので、こうした効果をもたらすデバイスを、「エレキソルトデバイス」と命名した。

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22年4月に発表した箸型デバイス(プレスリリースより引用)
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”しょっぱさ”が増す仕組み(同社提供)

 その後も検証を重ね、普段の食事でより使用しやすいスプーンとお椀型のデバイスに進化させた。使い方は、スプーンの柄、お椀の側面にあるスイッチで電流を入れ、4段階の中から好みの味の強度を選択。スプーンの柄、お椀の底を手で持つことで効果を発揮する。

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市販化を目指すスプーンとお椀型のデバイス(体験会で記者撮影)

 スプーンやお椀は、バッテリーなどが内蔵されているものの、普通の食器とほぼ同じ感覚で使用可能。実際に使用して減塩ラーメンを食べてみたところ、使用後は塩味が増したことを実感した。0.5〜1.0秒かけて電流を流すため普段よりもややゆっくりしたペースで食べることにはなるが、減塩食の「物足りなさ」は解消されたように感じた。

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4段階はサイドのスリットで確認できる(体験会で記者撮影)

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