「はじめから完璧を目指しすぎ」 日系が外資に勝てない根本理由:外資系1年目の教科書(3/4 ページ)
著者の山口畝誉(うねみ)氏は、仕事の進め方で重要なのは「はじめから完璧を目指さないこと」と話す。その理由はというと……。
日本企業は“はじめから完璧を目指す”傾向が強い
特にソフトウェアの世界では、バグがあるのは当たり前なので、まず市場に投入してからバグフィックス(修正)するとともに、改良を重ね続けます。今ではデジタルツールを使うことが日常的なため、スマホアプリが頻繁にアップデートされているというのは、日頃皆さんが経験している通りです。
ところが、一方で日本企業では、はじめから完璧を目指す傾向がいまだに強いように見受けられます。それは、これまで日本市場や日本の経済をけん引してきたのが、ITやソフトウェアではなく、製造業だということも挙げられます。重工業においては製造に要する時間が長くかかります。また、例えば、人の命を預かるような製品であれば、バグフィックスというような悠長なことは言っていられないでしょう。
しかしながら、「完璧を目指す」という考えが、製造現場のみならず、ホワイトカラーによる企画のような仕事にも浸透しきっているのはいただけません。これは、フラットにフランクに上司とコミュニケーションをしづらい環境があったり、上司に遠慮したり、組織の階層を飛ばすと大変なことになったりするのが理由として挙げられます。
結果、せっかくいい企画でも、企画担当者が最初に構想を考えてから世の中に出るのは1年後、ということもザラにあるのです。それでは市場に投入したときには、既に環境が変わってしまっています。このようなやり方では、Time to Market 重視の、スピード感にあふれた外資系に勝てるはずがありません。
はじめから完璧を目指さずフィードバックを得ながら練り上げていく。ぜひ、上司側はそれを受け入れてください。
関連記事
- 外資系企業で結果を出す人が重要視する“超実践的スキル”
「VUCA時代」にどこでも活躍できる、どのような状況下でも生き残れる、“身に付けておくべき超実践的なスキルとは? 外資系を渡り歩いた山口畝誉(うねみ)氏によると……。 - スーパーで500ミリのコカ・コーラを見なくなった“なるほど”な理由
再値上げ、再々値上げが続く中、工夫をこらして単価を上げている企業も存在します。その一例が、日本コカ・コーラです。 - ビジネスホテルの“無料朝食”、気になる原価は一体いくら? 激化する“朝食合戦”から見るホテルの今
ホテルが朝食で特色を出そうとしていることは、宿泊者としてひしひしと感じる時がある。新たな施設の建設やリノベーションを施せば特色は強く打ち出せるが、コストはバカにならない。朝食は差別化のアイテムとして取り組みやすい部分なのだろう。 - 寮発祥のドーミーインが「大浴場」をどんどん展開するワケ 手掛ける「和風ビジネスホテル」とは?
「宿泊施設のカテゴリーボーダーレス化」が進んでいるが、ドーミーインのサブブランド「御宿 野乃」もそのひとつだろう。 - 常温で100日保存できる“おにぎり”誕生 どうやって開発したの? 担当者に聞いてみた
石井食品と、京都市で“1日100食限定”のステーキ丼専門店「佰食屋(ひゃくしょくや)」を運営するminittsが、常温で100日保存ができる「イシイの佰にぎり」を発売した。その開発秘話とは?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.