「課長になんてなりたくない！」 喜べないポジションと“やりたい仕事”の幻：河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」（4/4 ページ）

「課長になりたくない」「管理職になってから、ぐっすり眠れない」──中間管理職の報われなさから、出世を拒む人が増えている。ビジネスパーソンは、そうした「喜べないポジション」とどのように向き合うべきなのだろうか？

[河合薫，ITmedia]

高度成長期の幻にとりつかれた企業たち

●高度成長期の幻にとりつかれた企業たち（画像はイメージ、提供：ゲッティイメージズ）

　最後に会社側への苦言を付け加えておきます。

　そもそも本来、管理職は経営者の予備軍です。会社側は経営に必要な知識と、「この人についていこう！」とメンバーが思える人間力を身につける教育を行う必要があります。

　ところが、「コスト削減命」の企業は、その人的投資をしていません。

　門前の小僧がトップになれる時代は終わり、プロ管理職になるための教育が必要なのに、いまだに会社側は高度成長期の“管理職幻想”にとらわれ、管理職を会社員の出世街道のプロセスとしか見ていません。

　会社には「管理職とは何か？」を考えていただきたい。人的投資を怠らないでほしいと願います。

河合薫氏のプロフィール：

　東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。

　研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。著書に『他人をバカにしたがる男たち』（日経プレミアシリーズ）など。近著は『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』（PHP新書）、『面倒くさい女たち』（中公新書ラクレ）、『他人の足を引っぱる男たち』（日経プレミアシリーズ）、『定年後からの孤独入門』（SB新書）、『コロナショックと昭和おじさん社会』（日経プレミアシリーズ）『THE HOPE 50歳はどこへ消えた? 半径3メートルの幸福論』（プレジデント社）がある。