人材を、より自社の“強み”にしたい! そう考える人事が、やりがちな失敗:米オラクル副社長に聞く(1/2 ページ)
「企業は人なり」しかり、人材こそが企業の要であるということは、多くの経営者が口にするところだ。社員が意欲を持って自律的に働き、好業績を生み出せる──そんな社内環境は、確かに理想的だろう。しかし、こうした状況を作り出すのは決して容易ではないことは、多くの人事パーソンが日々実感していることかもしれない。
「企業は人なり」しかり、人材こそが企業の要であるということは、多くの経営者が口にするところだ。社員が意欲を持って自律的に働き、好業績を生み出せる──そんな社内環境は、確かに理想的だろう。しかし、こうした状況を作り出すのは決して容易ではないことは、多くの人事パーソンが日々実感していることかもしれない。
ビジネスにさまざまな変革が求められる時代に、社員のスキルの把握や適材適所への配置、新たなスキルの習得(リスキリング)などのタレントマネジメント施策を、どう進めていけばよいのだろうか。多くの企業の取り組み事例を知る米オラクルのクリス・ハブリラ氏(クラウドHCM製品戦略担当バイスプレジデント)に話を聞いた。
タレントマネジメント施策の失敗要因は「ゴールを決めない」ことにある
──さまざまな必要性に迫られて、タレントマネジメント施策に取り組んでいる企業は多いですが、中には思うような成果を得られていない企業もあります。タレントマネジメント施策に失敗してしまう原因には、どのようなものがあるのでしょうか。
ハブリラ氏: 最も多いのは、計画を定めずに、(タレントマネジメントの)プロジェクトに着手してしまうことです。
まずは、目指したい最終形を定める必要があります。従業員エクスペリエンスの向上であれば、そもそも従業員エクスペリエンスがよい状態とはどういうもので、何をもって成功と定義をするのかを決めておくべきなのです。生産性向上や満足度など、最終形は企業によってさまざまですが、それを定義するということです。
また、テクノロジーを導入しても、人事目線の使い勝手だけを考え、マネジャーやリーダー、社員のことを考えていないことも、失敗につながります。全てのメンバーにとって使いやすいものでないと、必要なデータが集まりません。
変化の多い時代、社員に何を学び直してもらうべきか
ハブリラ氏: 社員は根本的に、スキルを身に付けたい、あるいはそのチャンスが欲しいと思っています。ただ、時として、どんなスキルを身に付けたらいいのか分からないことがあります。これは一般の社員のみならず、上司やさらにその上のリーダー層にも言えます。というのも、必要とされるスキル自体が変化しているからです。
(人事側の取り組みとしては)「どんな成果や結果を得たいのか」「さかのぼってどういうスキルが必要なのか」といったように、逆算して考える必要があります。
最近組織内でよく見られるのが、いわゆるプロジェクトベースの仕事です。この場合、達成したい目標があるからそのプロジェクトが組成されたわけなので、どういったスキルと能力があればそのプロジェクトが進められるかを考えます。かつてのような、作業やタスクという単位ではありません。まずは成果などの最終形を定め、逆算して必要なスキルを考えていくのです。
人事のみが把握しておくのではなく、経営者に対しても、組織の中にある人材とスキルが、現状どういうものなのか、また、今後はどういう人材スキルの構成になっていくのかという洞察を、テクノロジーを活用しながら提供する必要があります。そうすることによって、ある特定のスキルを持ち合わせた人と、そのスキルを必要とするポストをマッチングできるのです。
肩書きやスキル、そのスキルのレベル、経験、強みなどを包括的にまとめることが、人事が戦略的にキャリア開発や採用計画を実行する第一歩です。
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