お願いしやすい関係を作っておく
人に協力をお願いする時に、「迷惑をかけるのではないか」と思っていませんか。だとしたら、お願いしやすい関係を作っておいたほうがいいでしょう。実は、関係性には5つの段階があります。「警戒」から「安心」、そして「親しみ」、さらには「信用」、「信頼」への5段階。「親しみレベル」の関係で満足するのではなく、「信頼レベル」の関係を何人と結んでいるかを意識しておくことです。
信頼関係を結ぶために、やることは簡単です。日頃から、「見返りを求めない」行動を取ることを考えてください。Give & Takeで言うなら、& Takeを求めない行動をどれだけ取っているかで、その人の信頼残高が決まってきます。
例えば、困っていそうなら声をかける、弱っていそうなら力になってあげる、時には、差し入れをするのも効果的でしょう。そんなことです。
人は敏感です。必ず、あなたの行動の意図を見抜こうとします。しかし、そこに見返りがないとしたら、いかがでしょう。今度は相手が力になりたいと思うはず。多くの人と信頼関係を結ぶためにも、見返りを求めない行動を積極的に取っておきたいところです。
情報の共有を“はしょらない”
人にお願いをする時は、小さなことでも必ず共有しましょう。人は情報を知らされていないことを知った時、必要以上に詮索します。「軽く思われている」「家来じゃないぞ」などと、思わぬ確執に発展することも少なくありません。もし、「後で伝えるつもりだった」ということであれば、ちょっと不注意です。
鉄則は報告と一緒。「一部だけでもOK。情報共有は拙速に」です。ささいな情報でも、早く相手の耳に入れる。相手が「そんなこと共有しなくてもいいのに」と思うようなことであっても、共有しましょう。1分でメールを書いて送るだけで済むことです。
実は、私にも失敗がありました。営業時代のこと、お得意様の部長のご機嫌を少し損ねてしまったのです。部長のご厚意で社長と名刺交換をさせていただきました。その後、その社長からまったく別の相談を受けたのですが、特にその部長には報告をしていませんでした。
それが失敗。「最近、何しているの」と不安の表情を示されたのです。内容は言わずとも、会社に来ていることは報告するべきでした。確かに面倒なんですが、こじれると、もっと面倒。その対応には時間がかかるかもしれません。ささいなことこそ、共有をしておきましょう。
著者:伊庭 正康(いば・まさやす)
株式会社らしさラボ代表取締役。1991年リクルートグループ入社。法人営業職として従事。プレイヤー部門とマネジャー部門の両部門で年間全国トップ表彰4回を受賞。累計40回以上の社内表彰を受け、営業部長、(株)フロムエーキャリアの代表取締役を歴任。2011年、研修会社(株)らしさラボを設立。リーディングカンパニーを中心に年間200回を超えるセッション(営業研修、営業リーダー研修、コーチング、講演)を行っている。実践的なプログラムが好評で、リピート率は9割を超え、その活動は『日本経済新聞』『日経ビジネス』『The21』など多数のメディアで紹介されている。Webラーニング「Udemy」でも営業スキル、リーダーシップ、時間管理などの講座を提供し、ベストセラーコンテンツとなっている。
代表作に『できるリーダーはこれしかやらない』(PHP出版)、『メンバーが勝手に動く最高のチームをつくる プレイングマネジャーの基本』(かんき出版)など。YouTubeやVoicyでも情報を発信中。
公式Webサイト:らしさラボ公式Webサイト
Twitter:@Coping_coach
公式YouTubeチャンネル:研修トレーナー伊庭正康のスキルアップチャンネル
Voicy:1日5分 スキルUPラジオ
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ソニーの「着るエアコン」“バカ売れ” 猛暑追い風に「想定以上で推移」
連日の猛暑が続く中、ソニーグループ(ソニーG)が4月に発売した、充電式の冷温デバイス「REON POCKET 3」(レオンポケット3)の売れ行きが好調だ。同製品は「着るエアコン」とも呼ばれており、ビジネスパーソンを中心に売り上げを伸ばしている。
「過去最大の投資」──ABEMA責任者が語るサッカーW杯放映権獲得の舞台裏と狙い
ABEMA責任者にサッカーW杯放映権獲得の舞台裏と狙いを聞いた。
加速する局アナの“テレビ離れ” 元TBS国山ハセン氏が選んだ意外な転職先
ビジネス映像メディア「PIVOT」を運営するPIVOTは、元TBSアナウンサーの国山ハセン氏が参画したと発表した。
社用スマホ転売で6億円着服──バンダイナムコはなぜ、社員の不正を防げなかったのか
バンダイナムコホールディングス子会社で、社員が会社の備品を無断で売却し、約6億円を着服するという事件が発生した。転売事件はなぜ起きたのか。同社担当者に経緯を聞いた。
日本製車両採用の「ドーハメトロ」、サッカーW杯観客輸送で活躍中 記者が乗ってみた
サッカーW杯を開催中のカタールで日本企業が受注した、日本製の鉄道車両がW杯の観客輸送で活躍している。現地滞在中の記者が実際に乗車した感想もレポートする。
テレ朝の大物プロデューサー、米アマゾン移籍報告に反響 『あざとくて何が悪いの?』など企画
テレビ朝日の有名プロデューサーが米アマゾン系のコンテンツ制作会社に転職するとのツイートが、業界関係者を中心にネット上で注目を集めている。
床が水浸し、エアコン故障...... 1泊3万円、カタールW杯で「ぼったくり」と批判殺到したプレハブホテルの実情とは
アルゼンチン代表の優勝で幕を閉じたカタールW杯。大会を通じた課題の1つに、宿泊施設が挙げられる。海外メディアや宿泊者から批判が殺到した宿泊施設に潜入取材した。
カタールで見つけた大量の「PS5」 日本の品薄状態はどうなる? ソニーに聞いた
2020年11月の発売以降、世界的な人気から品不足に陥っている、家庭用ゲーム機「PlayStation 5」。日本でも全国的な品薄状態が続く中、サッカーワールドカップを開催したカタールでは大量の在庫があるようだ。
とんかつソース、オロナミンC...... カタールのスーパーで見つけた「日本の味」 現地での意外なニーズとは
W杯の現地観戦で訪問した中東カタールの首都ドーハ市内のスーパーマーケットで、日本食に関する売り場を見つけた。なぜこうした商品を取り扱っているのか。店舗スタッフに聞いた。
“NHK受信料を支払わなくていいテレビ”を製品化 ドンキの狙いは?
「ドン・キホーテ」が発売した、「ネット動画専用スマートTV」がネット上で大きな話題を呼んでいる。テレビと称しながら、テレビチューナーを搭載していないためだ。製品化の狙いと経緯を聞いた。
「生クリーム好き歓喜」──セブンイレブンの“具なし”「ホイップだけサンド」に反響 商品化の狙いは? 広報に聞いた
セブン-イレブン・ジャパンが10月12日から近畿エリアなど地域限定で販売を始めた「ホイップだけサンド」シリーズがTwitterで話題となっている。商品名の通り、ホイップクリームのみを挟んだ“具なしサンドイッチ”となっている。商品化の経緯を聞いた。
「工場の製造が追い付かない」──ファミマの「クリームパン」、4週間で650万個販売 好調の理由を広報に聞いた
ファミリーマートが発売した「ファミマ・ザ・クリームパン」の売れ行きが絶好調だ。販売開始から8日で、クリームパン単体で220万個を売り上げた。1秒に3個売れている計算で、工場の生産が追い付かず、品薄になっているとして、一部の店舗では“お詫び”の掲示物をするほどだ。なぜここまで売れているのか。好調の要因を同社広報に聞いた。



