「新人が育ってくれない」と悩む上司が知らない、Z世代の特徴とは(4/4 ページ)
新しい価値観を持つ「Z世代」が新入社員として働き始めている。仕事への向き合い方をめぐって摩擦が起きる現場も少なくない。Z世代は何を考えているのか、それに対し、上司などの旧世代の社員はどのように対応すべきなのか。
「ゆるブラック嫌い」と「安定志向」の共存
この世代の理解を複雑にするポイントが、“ほどほど”の安定志向の人と、成長志向の強い「ゆるブラック」嫌いの人が共存していることだ。前述の調査で、仕事を通じて成し遂げたいことが「安定した生活を送りたい」(64.5%)、「自分を成長させたい」(60.6%)のツートップであったことからも分かるように、安定志向が増えている一方で成長志向が強い人も少なくない。
特にZ世代に嫌われる傾向があるとして昨今話題になっているのが「ゆるブラック」企業だ。残業やストレスのないホワイトな労働環境を与えられ、実力を養う経験やストレッチもなく、成長実感も持てずにゆでガエルにされてしまう企業のことを指す。
企業によってはコロナ禍でリアルの対面やコミュニケーション量が少なかった学生に配慮して、じっくり育成しようというところもある。ところが成長志向の「ゆるブラック」嫌いには我慢ならないらしい。
あるサービス業の人事部長は「新人の中には『僕は即戦力です。早く実践で使ってください』と言う人もいれば、『どうして幼稚園児みたいな雑用をさせるのか』と、上司に文句を言う人もいる」と語る。
早く一人前になりたいと、どこか焦っているタイプが一定数いるそうだ。会社としては配慮して丁寧に育成しているつもりでもそれが気に食わない新人もいる。まさに多様な働き方の価値観を持つ社員にどう対応していくのか、企業の育成力が試されている。
しかも今は従来と違い、テレワーク下のマネジメント力も求められる。次回はこうした世代の育成などに対し、困難に直面するマネジャーの実態を報告したい。
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