グリーンか、破綻かーー不動産の未来は?:フィデリティ・グローバル・ビュー(1/3 ページ)
かつて不動産投資は「価格と利回り」という比較的シンプルなものでした。しかし今や、ネット・ゼロ(温室効果ガスの排出量実質ゼロ)に向けた競争の最前線に立っています。現在ある建物では、2050年までのネット・ゼロ達成は難しいでしょう。建物は変わらなければいけないし、私たちの投資アプローチも変えなければいけません。それもすぐにそうしないと資産が陳腐化し、価値を失うリスクがあるのです。
欧州の都市、街、村、工業団地を歩くと、目にするほぼすべての建物がネット・ゼロへの移行を実現するための何らかの改修を必要としています。Buildings Performance Institute Europe(BPIE)が2017年に発表したレポート(注1)によると、50年のネット・ゼロ達成に向けて欧州連合(EU)域内の建物の97.5%(およそ2億1500万棟)を改良する必要があります。欧州の建物は域内のエネルギー消費量全体の40%を占め他のどの業種よりも多いほか、エネルギーに関連した温室効果ガス(GHG)の排出量も全体の36%を占めています(欧州委員会、注2)。どちらの数字を見てもサステナブル(持続可能)とは言えません。
- 注1:97% of buildings in the EU need to be upgraded BPIE - Buildings Performance Institute Europe
- 注2: In focus: Energy efficiency in buildings | European Commission (europa.eu)
もちろん一部は取り壊され、環境に配慮した建物に再建築されるでしょう。しかし、今ある建物の85%は50年にもまだ残ると見込まれ(欧州委員会、注3)、大規模な改修が必要になります。現在、グリーン基準を満たすためにこのような改修が行われているケースは大部分の主要市場で毎年1%未満にとどまり(注4)、劇的なペースで作業を進める必要があります。このことは、不動産投資家に新たな資産価値をもたらすと同時に、ネット・ゼロの実現にもつながります。
- 注3:Renovation and decarbonisation of buildings (europa.eu)
- 注4:Buildings - Sustainable Recovery - Analysis - IEA
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