オートミールを茶碗によそって箸で食べる!? 日本市場を狙うケロッグの意外すぎる作戦:ヘルシーだけで終わらない(2/3 ページ)
日本ケロッグは9月15日、「粒感しっかり オートミールごはん」を発売した。同社の執行役員でマーケティング本部長の山田実さんによれば、日本のオートミール市場規模はこの4年で約10倍以上に急成長しており、2021年は623億4000万円にのぼるという。この急拡大は、オートミールならではの食べ方「米化」が要因だ。
米化を超えた「ごはん化」
単なる米化ではなく、完全にごはんとして食べられる商品を作る。そこで開発したのが、茶碗によそって箸でたべる「粒感しっかり オートミールごはん」だ。「徹底的にこだわったのは、“ごはん”の食感と味わいをオートミールで再現することです」(西村さん)
米ならではの食感と味わいを再現するために、「しっかりした粒感」「甘さと粘り気、ふっくらもちもち感」と特長が異なる2種類のロールドオーツを選定。それらをごはん化に最適なバランスで配合した。
また、ごはんとして毎日食べてもらうために調理の手間は厳禁だ。そこで調理工程は、大さじ4杯(30グラム)を水50ミリリットルに1分間浸した後、レンジで約90秒加熱すれば完成するという簡単でシンプルなものにした。「忙しい朝、リモートワーク中のお昼、疲れて帰ってきた夜、いつのタイミングでも温めるだけで食べられるよう工夫しました」(西村さん)
実際に「粒感しっかり オートミールごはん」を食べてみたところ、箸でもしっかりすくえる粒感があり、冷めていてももちもちとした食感を感じることができた。カレー、丼物など味がはっきりした料理はもちろん、オートミール独特の癖も少ないため和食との相性もいいという。
発売に際し、同社は米のプロこと五ツ星お米マイスターの西島豊造さんに、「粒感しっかり オートミールごはん」の評価を依頼した。西島さんによると、日本のごはん文化は、ごはん食の大衆化をもたらした玄米、精米や炊飯技術の向上によって生まれた白米、健康志向の高まりから人気となった雑穀米と変化してきたという。「このオートミールごはんを初めて食べた際、雑穀でもない“第4のごはん”が登場したと感じた」とコメントした。
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