静岡県下田に移住者が集まる必然性 キーパーソンは”よそ者”(3/4 ページ)
静岡県下田市に移住する人が増えている。コロナ禍の影響があるとは言え、2018年に比べて約7倍に上る。なぜ移住希望者が増えているのか、滞在を通して理由を探った。
十数年ぶりの”自作”流しそうめん
イベント2日目、最初のコンテンツは「竹インテリア作り」だ。昼に実施する「流しそうめん大会」に向け、自分たちで流し台や箸、皿を竹から制作することに。竹製品を作る地元企業の協力の元、各自が流しそうめん大会に向けた備品を作っていく。
観光やホテルワーケーションの滞在でも「あ、竹の店がある。インテリアも置いてあるし、ちょっと見ていこうか」となることもあるかもしれないが、「流しそうめんを作るために竹を加工する」なんて体験を少ない滞在日数の中で実現させるのはハードルが高いだろう。
作業を通しながら、下田における竹ビジネスの意味を考えることもできる。竹の使用場所や竹だけで事業を継続できるのか、市のイベントで活用することがあるのかなど、地域に入り込まないと知れない世界を覗くことができた。
自作した流し台などを持って拠点に帰宅。流し台を設置し、調味料をスタンバイ。そうめんやトマト、ぶどう、グミなどを次々に流していく。流しそうめん大会には伊豆下田拠点マネージャーの津留崎鎮生さんも参加。もともと東京に住んでいた津留崎さん、17年に下田に家族で移住し、現在は養蜂所で働いたり宿泊業に関わったりしている。その他にもマガジンハウスが運営するWebメディア『colocal コロカル』で「暮らしを考える旅」の連載もしているという。
津留崎さんの東京での拠点が筆者の居住地と近かったことで盛り上がった。自分が普段住んでいる町から離れた土地で出会った人と思いがけない共通項があるとぐっと距離が近くなる。移住というふんわりとした”理想”が現実味を帯びる瞬間だ。筆者が副業で働いている銭湯にも帰省のついでに遊びに来てくれることになった。観光として単発の出会いを楽しむことも有意義だが、緩いつながりが将来の生活や仕事の選択肢を広げてくれることもあるだろう。
「僕は下田に5年ほど住んでいるけど、魅力的な人が多いなと日々実感する。そんな魅力が詰まった地域とLACをつなぐハブ的な動きをしていきたい」と津留崎さんは自身の役割を話した。
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