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年間売り上げ4億円 秋田のソウルフード「バナナボート」が60年以上も売れ続けるワケ地域経済の底力(2/3 ページ)

「学生調理」「アベックトースト」「コーヒー」、そして「バナナボート」。一度聞いたら忘れないネーミングが面白い、秋田市に本社を構える「たけや製パン」。同社はなぜここまで秋田の人たちに愛されるのか。60年以上も売れ続けるワケに迫る。

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ロングセラーを大切にするべき

 売り上げ的にはバナナボートに及ばないものの、たけや製パンには他にも人気商品が目白おしである。例えば、「学生調理」。実際に中高生の意見を反映して、1986年に発売した。コッペパンに魚肉ソーセージのフライ、サラダ、ナポリタンを挟んだ、いかにも若者が好みそうなガッツリ系である。


中高生の意見を元に開発された「学生調理」

 「昔は10校以上の高校に直接社員を派遣し、売店で商品を販売していました。スタッフが学生に好きな具材を聞くと、スパゲティとかソーセージとかが出てきたんです。それを使って商品を作ったのがきっかけ」

 その他、魚肉ソーセージフライを使った「おいしいどッグ」や、スパゲティサラダを具材にした「サラダパン」も、当時の秋田県内の高校では必ず置いてあった定番商品だった。


「サラダパン」

 武藤社長曰(いわ)く、食品メーカーにとって、ロングセラーをいかに続けるかが大切だという。

 「最近の傾向としては、新商品を出しても2、3カ月しか続かないものが多く、長く売り続けるのは難しい時代だと痛感しています。だからこそ、県民にも定着している既存商品の売り上げをさらに伸ばしていくのが非常に大事」

 発売当時は120円だった学生調理は、現在170円程度になっていて、中高生が買うには少々高い。そこでサイズを小さくして価格を抑えた「学生調理 ちょうどいい大きさ」を発売して、学生でも買いやすいようにした。


「学生調理 ちょうどいい大きさ」

 また、2014年には40〜50代をメインターゲットにした「中年調理」を限定販売した。赤中年、黒中年、緑中年の3種類を展開し、メンチカツやチーズポテト、チキン南蛮などを具材に使用。あの手この手で、既存の人気商品に目を向けてもらい続ける工夫を怠らない。

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